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日刊工業新聞連載『調達コストのリスク管理(11)リスク要因のまとめ方』
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  • 大崎将行
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リスク要因のまとめ方

マップ作成で全体像つかむ

【新型肺炎も該当】

新型コロナウイルスの影響で、ヒト・モノの往来が滞り、サプライチェーンの寸断という形で、広範な業種で需給バランスに影響が出始めている。前回は調達コストのリスクの把握の1パートである、需給バランスに影響を与える「リスク要因の洗い出し」について述べた。まさに新型コロナウイルスなどの感染症もこのリスク要因(特殊要素)に該当する訳だが、今回はその洗い出したリスク要因のまとめ方について説明していく。

【プロット作業】

洗い出したリスク要因をまとめる作業とは、「リスクマップ」を作ることだ。“リスク管理”と名の付く専門書を読むと、リスク要因をそれぞれ評価し、対応すべきリスク要因に優先順位を付けるため、この「リスクマップ」が必ず登場する。これは“調達コスト”のリスク管理でも例外ではなく、評価軸として縦軸を「リスク要因の発生(顕在化)確率」、横軸を「(顕在化した際の)需給バランスへの影響度」としたマス目に、洗い出したリスク要因をプロットしていく作業となる。

この際、発生確率や影響度をどこまで厳密に評価してプロットするのかということに頭を悩ますが、ある程度定量的な数値を抑えた後は、最後は感覚的な部分でプロットしても構わない。ここで手が止まり、後の工程に進めなくなるようであれば元も子もないからだ。

【時間軸の切り方】

ここまでは一般的なリスク管理の考え方と共通する範疇(はんちゅう)だが、調達コストのリスク管理について言えば、もう一つ欠かすことのできない視点がある。それは「時間軸」だ。後の「予算策定」「リスク対策」の際に、この時間軸での切り分けが生きてくる。時間軸の切り方について特に定型がある訳ではないが、短期(半年以内)、中期(半年から1年)、長期(1年以上)と三つの区分でまとめることが経験上、最も使いやすい。

例えば、冒頭で述べた「新型コロナウイルスの影響による素材や部品の供給途絶」というリスク要因であれば「短期/発生確率:高/影響度:中」に、「イランによるホルムズ海峡封鎖による原材料の供給途絶」というリスク要因であれば「中期&長期/発生確率:低/影響度:高」という形でプロットしていく(図参照)。

調達コストのリスク管理において欠かすことのできないこの「リスクマップの作成」であるが、調達活動での事業継続計画(BCP)構築の観点からも、有益な示唆を与えるのは間違いない。一度、自らの手で最後まで仕上げると全体像が非常にクリアになる。(隔週木曜日に掲載)

◇マーケット・リスク・アドバイザリー代表 大崎将行

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