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日刊工業新聞連載『調達コストのリスク管理(4)材料費などの「変動」影響』
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調達コストのリスクは「需給バランス」に集約

【累積的に】

前回のコラムでは、調達コストは当該調達品の「需給バランス」と当該調達品の「供給者(売り手)のコスト構造」の変化に影響を受け、その影響が想定や計画を上回ると調達コストのリスクになること、また当該調達品の原材料自体もその原材料の「需給バランス」と「原材料の供給者のコスト構造」の変化の影響を受けることに言及した。これは結果として、自社で取り扱う調達品が、川下に行けば行くほど上流側の各工程のリスクの影響を累積的に受けることを意味する。例えばアルミ製品メーカーにおけるアルミ加工品(圧延品や鋳物など)の調達コストのリスクで考えれば、調達品である「アルミ加工品の需給バランス」や「アルミ加工品メーカーのコスト構造」の変化に加え、「アルミ地金(アルミ加工品の原材料)の需給バランス」や「アルミ地金生産者のコスト構造」の変化の影響も包含することになる。

【5要素に集約】

「供給者のコスト構造」を深掘りしてみよう。供給者のコスト構造はサプライチェーンにおける居所や扱う品目は違えど、製造原価の3要素である“材料費”“労務費”“経費(主に減価償却費や光熱費)”に“物流費”を加えた5要素におおむね集約される。このうち、材料費以外の4要素については、元来変動も小さく価格交渉の材料とはなりにくい(最近光熱費、物流費はやや異なるが)。仮に供給者からこれらコストの上昇を理由に価格転嫁の要請を受けても、通常前もって計画や予算に織り込むことは可能だ。また双方の歩み寄りで常識の範囲内に着地させることも可能であろう。その点では、調達コストのリスク要因とはなりにくい。

【誘発する要因】

では材料費はどうだろうか。材料費は供給者にとっての調達コストそのものであり、前述の通り、当該調達品の「原材料の需給バランス」や「原材料の供給者のコスト構造」の変化の影響を受けるが、原材料の供給者の材料費以外の4要素もやはり調達コストのリスクの発生要因とはなりにくい。供給者の材料費の変動による価格転嫁を受け入れる前提で考えれば、最終的に調達コストのリスクを誘発する要因としては、当該調達品の“原材料”の需給バランス、当該調達品の“素材や部品”の需給バランス、当該調達品“そのもの”の需給バランスと、各工程の「需給バランス」のみが残る。変動性が高いゆえに読みにくく、自社の手が及ばない「需給バランスの変化」に、調達コストのリスクは集約される。(隔週木曜日に掲載)

◇マーケット・リスク・アドバイザリー代表 大崎将行

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