日経CNBC「デリバティブマーケット」に新村が出演しました。
- メディア出演
日経CNBCでの解説終了しました。
改野さん、スタッフの皆様ありがとうございました!
今日は中国の人民元切り下げと、そのリスクの解説です。今回の切り下げは、ドルペッグ制になっていることに伴う、人民元高を修正することが目的と考えられますが、株式市場が混乱しているこのタイミングで行ったことについて、「中国政府の危機対応能力」に疑問符が付けられています。相前後して天津で事故が起こり、ここでもお粗末な対応をしているため、よりその懸念は強まっていると言えます。
人民元の切り下げは、本当に彼らが人民元を市場実勢に近付ける目的で、かつ、それが今後も続くのであれば好ましいことです。ですが、通貨切り下げのタイミングが貿易統計の悪化が分かった直後だったので、輸出促進策か?という議論もでました。しかし、残っているのは人民元が切り下げられたという事実のみです。
人民元の切り下げは2つの経路を通じて、需要に影響を及ぼすと考えられます。1つは中国の内需、2つは主に東南アジア諸国への影響です。まず人民元切り下げは自国の購買力を低下させますので、投資も含む内需が影響を受けることになります。
東南アジアへの影響は、中国の購買力低下に伴う景気悪化→資金流出→財政状況悪化→公共投資や補助金の削減→需要減少、という負ののスパイラルをもたらします。また、中国の輸出競争力が改善しますので、先進国向けの東南アジアの先進国への輸出が減少するというマイナス要素ももたらします。
今回の通貨切り下げはドルペッグ制を採用していることによって発生したものである可能性は高いものの、目先の商品需要には悪影響を与える、と整理できます。そしてこの影響を受けるのが、中国の消費シェアの大きい工業金属セクターです。
既にこれらの商品の価格は調整しており、基本、需要に対する人口動態の説明力が高いため、インドネシアやインドの需要増加で商品需要見通しは悲観的ではなく価格は強気見通しですが、今後、中国政府の対応によっては需要の顕在化が起きない、あるいは遅れるという可能性が出てきます。下期の商品価格変動の最大要因は、結局各国の政策対応、ということになるでしょう。