用語解説-その9「商品インデックス投資」①
- ビジネスへのヒント
- MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)
【ビジネスへのヒント】第391号
商品(コモディティ)が投資商品となってから20年近くが経ちました。そもそも商品に対する投資は古くは大阪の堂島米会所の時代から行われていますが、現在の様なリスク分散の観点からの投資が本格化したのはこの10年程度であると考えられます。商品市場で投資を行う場合、現物に投資する方法、証拠金を預け個別商品先物に投資をする方法、商品インデックスに投資する方法、ETFを購入する方法、等が考えられます。他の株や債券と同様の目線で取引されるようになったという意味では、3番目の商品インデックスに投資する方法がこの10年で最も影響が大きかったと言えます。商品インデックス投資の仕組みを知ることは、商品市場動向を理解する上でも重要です。そこで4回に渡り、商品インデックス投資について説明したいと思います。
「商品インデックス投資」①
インデックス投資は主要な商品を投資対象とします。尚、インデックス投資を行う時にはその全額を商品先物に投資する訳ではありません。預かった資金の一部が先物取引の証拠金として差し入れられ、残りは国債や現金などで運用するのが一般的です。また、インデックス投資を行う場合には、「債券」の形で投資されるのが一般的です(形式によっては信託受益権の形で販売されるものもあります)。次に投資対象ですが、多くの商品がその規模と商品相場全体に与える影響の大きさから、エネルギーに対する投資比率が高い傾向があります。次いで、為替に近くエネルギーに次いで流動性が高い貴金属、ベースメタル、穀物、の順に投資比率が高いのが一般的です。商品インデックスに投資することで得られるリターンは、3つの要素から構成されます。「キャピタルゲイン」「ロール・マージン」「証拠金金利」の3種類です。これらの水準はタイミングによって勿論変わってきますが、この3つのリターンを合計したものが商品インデックスのリターンとなります。まずキャピタルゲインは商品価格の絶対価格が上昇して得られるリターンの事です。80ドルだった原油価格が100ドルに上昇すれば、そのキャピタルゲインは20ドルということになります。次にロール・マージンですがこれは商品インデックスの先物市場への投資の仕方を説明する必要があります。商品インデックスの設計はインデックスを組成している企業によって違いがありますが、いわゆる第一世代と言われるインデックス投資の場合には、「直近限月に買いを入れ、それを延々とロールオーバー(納会が来る前に次の限月に乗り換える)」する「バイ・アンド・ホールド(買い持ち)」戦略が取られます。この時、直近限月価格が第2限月価格よりも高ければ、このポジションをロールオーバーする時にその「価格差」がリターンとして認識されます。例えば直近限月価格が100ドル、第2限月が98ドルだった場合、ポジションをロールオーバーする時に、100ドルで売って98ドルで買い戻しますので、2ドルのリターンとなります。次に証拠金金利ですが、これは先物取引を行う時に預け入れる証拠金に付利される利息の事です。
(続く)