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用語解説-その4
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第386号

「フィラデルフィア連銀製造業指数」
フィラデルフィア連銀製造業指数は、フィラデルフィア連銀が所管する、ペンシルべニア州、ニュージャージー州、デラウエア州の3つの週の製造業を対象に行われる統計調査を指数化したものです。回答企業には1ヶ月前の状態と現在の状態を比較して、良い、同じ、悪化の3種類から回答してもらい、その調査項目の状態を発表します。仕組みは日銀短観の業況判断DIと類似しています。この統計では失業率、所得、平均賃金といった雇用関連の項目と、新規受注等の企業活動項目等、11項目が調査されます。フィラデルフィア連銀指数は、米ISM製造業景気指数の先行指標として重要視されています。更に言うとISM指数は商品需要の指標であるGDPの先行指標ですので、フィラデルフィア連銀指数は、商品需要を占う上での極めて初期段階の先行指標であると考えられます(ISM指数に関してはまた別の回で解説します)。同様の連銀指数の中で注目度が高いものにニューヨーク連銀指数とシカゴ購買部協会指数がありますが、ニューヨーク連銀指数はカバーしている週が1州に留まることからフィラデルフィア連銀指数と略同じタイミングで発表されるものの、ISM指数への説明力はフィラデルフィア連銀指数に比して高くありません。シカゴ購買部協会指数は最もISM指数に対する説明力が高いのですが(相関係数ベースで0.1ポイント程度高い)、月末に発表されることから月初に発表されるISM指数の先行指標としては活用し難いと言えるでしょう。いずれにしても、フィラデルフィア連銀指数はISM指数の先行指標として機能しています。上記の通り、フィラデルフィア連銀指数は商品需要動向を占う上での先行指標であるため、直接的な商品価格への説明力は実は然程高くありません。相関係数ベースでメタルが0.6~0.7程度、原油で0.6程度に留まります。過去の相関係数の推移を見てみると、同指標の説明力が高かったのは足元を除くと2004年6月頃でした。この頃は中国がWTOに加盟(商品需給の崩壊「デマンドショック」の発生)、日本の量的緩和実施(低利資金の国際市場への流入による、バブル発生の切っ掛け)、といった特殊な要因が重なった時期です。この後、FRBによる金利の断続的な引き上げによる米景気の緩やかな後退を受けて、同指標が低下基調を辿る一方、メタルは中国需要の増加と需給の逼迫で高値圏での推移を続けたことからこの相関関係は低下、一時は逆相関の関係になります(フィラデルフィア連銀指数は景気の先行指標であるため、商品価格の下落よりも早い段階で悪化している可能性がある)。その後の、リーマンショック、QE1、QE2といった一連のイベントを経て、同指標と商品価格の正の相関性は急速に改善しました。ですが足元、この統計指標と商品価格の相関性は低下トレンドに入りつつあります。このことは過去の例を見ると景況感の悪化が商品価格の下落に対して先行して発生しているため、と言えるでしょう。言葉を変えると、商品価格の現在の水準が景況感から乖離しているとも言えます。ですので、同指標がもし改善したとしても(相関係数が示しているように)商品価格に与えるプラスのインパクトは然程大きくないと考えることができます。