用語解説-その1「リスクオン・リスクオフ」「QE(量的緩和:Quantitative Easing)」
- ビジネスへのヒント
- MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)
【ビジネスへのヒント】第383号
市場動向レポートには、様々な専門用語が使われています。今日のビジネスへのヒントでは、知っている方からすれば当たり前かもしれませんが、この数ヵ月頻繁に使われているフレーズに関して解説したいと思います。
「リスクオン・リスクオフ」
主に投機筋が、リスク志向を強めることをリスクオン、リスク回避の動きを強めることをリスクオフと呼びます。この場合、リスクオンになると「リスク資産」が積極的に物色されることになります。リスク資産とは主に価格の変動性が高い資産、取引の流動性が低い資産のことを指します。リスク資産の代表選手はコモディティや株、高金利通貨などが該当します。非リスク資産は米国債、日本国債等を指します。単純に基軸通貨であるドルや、比較的国の財政状況が健全な日本円を現金で単純に保有することも非リスク資産の保有に分類されます。リスクオン・オフはリーマンショック以降、頻繁に使われるようになった用語であり、より広義には、「低金利通貨で調達した資金を高金利ないしは高リターンが追求できるリスク資産に投資をすること」と定義しても良いでしょう。
「QE(量的緩和:Quantitative Easing)」
中央銀行が市場に供給する資金量を目標として金融緩和を実施することを意味します。具体的には金融機関が保有している国債や債券を中央銀行が購入し、その代わり金を市中銀行が中央銀行に保有している当座預金に入金します。市中銀行は中央銀行に預け入れている当座預金の残高に応じて融資を行うことができるため、融資の拡大が期待できるわけです。但し、融資を行うことができるだけであり、実際に融資が行われるかどうかはその市中銀行のスタンスに依拠します。米国で2回実施された量的緩和は、QE1(第1回目の量的緩和)は、市場の急速な信用収縮並びにそれに伴う流動性プレミアムの解消を狙った政策であり、信用緩和(Credit Easing)とも表現されます。2回目に行われたQE2は、ポートフォリオのリバランス効果を狙ったものだと考えられています。ポートフォリオリバランス効果とは、ベースマネー(現金通貨と民間金融機関が保有する中央銀行預け金の合計額)の増加により貨幣以外の資産が減少(例えば国債)するため、その減少した貨幣以外の資産を埋め合わせるために貨幣との代替が不完全な資産(≒リスクが同じでない資産)が物色され、価格が上昇する効果を指します。しかし実際には緩和資金はニューヨーク連銀の外国銀行口座に保管されており、実際にマネーサプライがあまり伸びない等、期待された効果は出なかったようです。ですが、実質マイナス利回りとなった国債から株、商品等への投資が促されたため、QE2実施によるアナウンスメント効果の影響の方が大きかったようです。