景気の先行指標
- ビジネスへのヒント
- MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)
【ビジネスへのヒント】第352号
「何が景気の先行指標であるか」は市場で取引をする人や市場分析を行っている人たちの永遠の課題です。こと、予想の分野に限ると「何を見ていれば将来の価格動向が予想できるでしょうか」ときかれることがありますが、残念ながらそんなに都合の良い指標というのは存在しません。
強いて言うならば製造業PMIやISM製造業指数はGDPの先行指標であると考えられます。ですが、仮にPMIやISMが景気の先行指標だったとしても、商品価格や株価にどのように影響が出るかは、2つ3つの手順を踏む必要が出てきます。例えば商品であれば、その先行指標の変化によって需要がどれだけ変化し、需給バランスがどのように変わるかを判断しなければ答えは出ませんし、株価についてもそれに伴う売り上げの変化や将来キャッシュフローの変化がどうなるかを求め、1株当たり利益がいくらになるか、といったようなことを分析しないと予想が出来ません。
ただ、商品について1つ言えることは、「生産が急に増加したり減少したりすることがないため、価格の上昇/下落は足元の需要動向に左右されやすい」「需要動向、すなわち経済統計の変化」に比較的敏感に反応するということです。株の場合は四半期決算で発表される「過去の実績」の影響が大きいため、どちらかといえば景気の遅行指標と分類するべきでしょう。商品セクターの中では特に銅がその傾向が強いと考えています。いや、それは原油なのではないか?という議論もあります。確かに商品価格は主に需要動向が決定するのですが、原油の場合にはOPECというカルテルが存在するため、景気動向のみで需給が決定しないのです。その点、銅は大手生産者のシェアが大きいもののカルテルという形にはなっていないため、需要動向が価格に比較的素直に反映されやすいのです。ただ、中国の消費シェアが大きいため世界経済の動向というよりも、中国経済の影響を反映しやすくなっているのも事実ではあるのですが。