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リスクの水準の設定
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第354号

2月に入り、2019年度入りが目前に迫ってきました。今月最終的に2019年度の予算が確定する会社は多いものと思います。そして、調達ないしは販売している商品や原材料の予算価格も策定しているものと思います。この時、この予算レートを設定するとき、多くの場合金融機関や商社、その他のサプライヤーから情報を取得して、その水準を設定していると考えられ、多くの場合「市場コンセンサス」に近い水準で予算が決定しているものと思います。もし市場価格がこの想定している「メインシナリオ」通りに推移してくれるなら問題ないのですが、必ずしもその通りになりません。そのため、メインシナリオを策定した場合、必ず「リスクシナリオ」を想定することをお勧めします。

リスクシナリオは、商品相場を動かしそうな材料を価格上昇要因、価格下落要因に分類してピックアップし、カレンダー上に列挙します。これにより「どの月に発生するイベントで商品価格が想定している価格よりも上昇/下落する可能性があるか」をある程度把握することが可能になります。この時、リスク要因の選定は想定している価格レンジを上抜けるかどうか(下抜けるかどうか)を基準に選定すると良いでしょう。例えば原油であれば、Brentの想定されるレンジ(何のリスクイベントも顕在化しない場合のレンジ)は、40ドルから70ドルでしょう。この水準を上回る材料としては、例えばイランの制裁が完全に実施された場合や、FOMCで利上げが行われた場合。下回る材料としては英国のEU離脱が無秩序なものになった場合や、米国の中国に対する制裁が強化された場合、OPECの結束が崩壊した場合、などが考えられます。

「何をもってリスク要因とするか」は議論が分かれるところですが、想定している価格レンジを超える材料、と整理すると材料の整理もやりやすくなります。一定のルールで設定した「心地よいレンジ」を基準にリスクシナリオを想定してみることをお勧めします。