TACOトレードでリスク資産買い戻し
- MRA商品市場レポート
2026年1月22日 第3147号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「TACOトレードでリスク資産買い戻し」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は軒並み水準を切り上げた。ダボス会議に参加しているトランプ大統領が、対欧追加関税の発動を見送り(TACO)、一部撤回を示唆したことで、相互関税に伴う景気減速・リスク回避への懸念が後退。売られていたリスク資産が買い戻される流れとなった。
ただし、米政権の自国優先主義に基づく強硬な政策執行により、米国の信認が揺らいでいるのは否定できない。
米政権の中で良識派とされるベッセント財務長官が沈静化に奔走しているものの、火種を消しきれない状況が散見される。根本的にリスクが噴出しやすい環境は継続していると見るべきだ。
最大の懸念は、デンマーク年金基金が「米国債を売却し、金へシフトする」方針を明らかにしたことだろう。金準備を現在の550トンから700トンへ積み増すという。金額にして約4兆円規模であり、市場全体から見れば限定的だが、ETF残高と金価格の感応度分析を参考にすると、これだけで金価格を110ドル程度押し上げる要因となる。
仮に、欧州諸国が保有する米国債(540兆円相当)をすべて金に換えるという極端なケースを想定すると、現在の価格で約2万トンに相当するため金価格を14,500ドルも暴騰させる計算になる。
もちろん、これは米ドルが基軸通貨の地位を完全に失うような「壊滅的カオス」を前提とした数字であり、現実的ではない。
しかし、問題の本質は揺らぐはずがないと信じられてきた米国の信頼が消滅するリスクを、市場が無視できなくなった点にある。
ダボス会議において、カナダのカーニー首相は「国際ルールに基づく国際秩序は終わった」「過去に憧れることは戦略ではない」として、嵐が過ぎ去るのを待つだけの戦略はもはや機能しないと指摘している。リアリストである彼の言葉は重い。
企業や個人は、過去の統計データに頼るだけでなく、想定外の事態(ストレスリスク)を前提としたシナリオ構築が不可欠になると予想される。
今後、日本やカナダといった強大な武力を持たない「ミドルパワー(中堅国家)」が結束し、第三局を形成することは一段と重要になるだろう。欧州もイデオロギーの偏りを排し、リベラリズムの原点に立ち返って多様な意見を吸い上げる体制へ舵を切るべきだ。
同時に、現在の国際秩序が、実のところ「武力による統制」の上に成立しているという現実も受け止めねばならない。
なお、こうした不透明な時代には、ストレスシナリオに乗じて陰謀論が台頭しやすくなる。「突飛なロジック」や「過度に扇動的な主張」を展開するレポートや有識者の発言には、これまで以上に注意深い選別が必要である。
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