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日米首脳の発言を受けてリスク資産売られ貴金属は上昇
  • MRA商品市場レポート

2026年1月21日 第3146号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「日米首脳の発言を受けてリスク資産売られ貴金属は上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は貴金属セクターと発電燃料、農産品・畜産品セクターの一角が物色されたが、非鉄金属や原油は水準を切り下げた。経済統計の発表はなかったが、日米首脳の発言を受けて市場が混乱したことが背景。

米国については、年初から顕在化している「周辺地域への一方的な譲歩を迫る圧力」が強まっており、その矛先がグリーンランドに向いているとの見方が広がっている。

米政権は「グリーンランド売却に応じなければ高関税を課す」と主張、これに対し欧州側も報復関税を検討する構えを見せている。これにより、2025年4月以降に発生した貿易摩擦による景気悪化の再来が意識され、市場に動揺を与えている状況。

米政権の真意を正確に測ることは困難だが、トランプ第二次政権は発足直後から「グリーンランドの取得」に言及し、カナダに対しても「合衆国の州になるべき」と述べるなど、北米・北極圏の権益確保において一貫した主張を続けている。

当初は交渉術の一環との見方もあったが、これらを現実に実行に移そうとする動きが、市場に警戒感を生んでいる。米国がグリーンランドに固執する主な理由は、以下の通りと考えられる。

●軍事・地政学的要衝

ロシアからのミサイル軌道の最短ルート上に位置するため、米本土防衛のためのミサイル防衛(MD)システム拠点を拡充したい意図がある。

●資源安全保障

豊富なレアアース資源を確保し、供給網からの中国排除を決定的なものにしたい。

●北極海へのアクセス

気候変動に伴い活用が進む北極海航路の支配権、および同海域に眠る天然ガスや石油資源の権益を確保したい。

レアアースに関しては、豪州の資源会社「エナジー・トランジション・ミネラルズ」の筆頭株主である中国の盛和資源控股が、グリーンランド南部のクアネルスイト(Kvanefjeld)鉱山案件に関与してきた経緯がある。

しかし、同鉱床から産出されるレアアースには放射性物質(ウラン)が含まれるため、グリーンランド政府は「ウラン採掘禁止法」を制定し、開発は事実上差し止められた(同社は政府を提訴したが、敗訴している)。

また、国際空港開発プロジェクトへの中国企業の参画についても、米・デンマーク両政府が安全保障上の懸念からこれを阻止している。

このようにデンマーク側は一定の配慮を示しているにもかかわらず、米国がさらなる圧力を強めている背景には、対中強硬派のマルコ・ルビオ国務長官の強い関与があると考えられる。

また、国内製造業の復活を掲げるヴァンス副大統領も、資源確保の観点からこの方針を支持しているのではないか。

今後の落とし所は不明透明だが、米国とNATO・欧州が完全に決裂すれば、対ロシア防衛網は崩壊を免れない。

最終的には「領土権はデンマークに留めつつ、米軍基地の拡張と米企業による資源採掘の独占権を認める」、あるいは「欧州側が対米直接投資を拡大する」といった形での政治的決着が現実的ではないか。

ただし、昨日の市場を大きく揺らした直接的な要因としては、高市首相による経済・金融政策に関する発言があったことも事実であろう。


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