米政権の方針を受けて実物資産買われる
- MRA商品市場レポート
2026年1月20日 第3146号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米政権の方針を受けて実物資産買われる」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は米国市場が休場だったが、オープンしている市場では金属セクター・エネルギーセクターが共に堅調だった。米トランプ政権の政策が同盟諸国の分断をもたらすとの懸念を強めるものであること、それを受けたドル安進行がドル建て資産価格を押し上げた。一方、ドル安進行が自国通貨建て商品価格を押し下げている。
なお、昨日IMFの経済見通しが発表されたが、このトランプ政権と欧州の一連のやりとりは反映されていない。
トランプ大統領によるグリーンランド買収への意欲やノーベル平和賞への執着とも取れる言動は、世界の地政学リスクを不必要に高めている。
中国がサプライチェーンを掌握し、親米諸国を含む世界経済の脅威となっている現状は理解できる。しかし、現在進められている一連の強硬策は、却って同盟国を中国側に接近させかねない危うさを孕む。
ビジネスシーンでよく見られる「まずは高い条件を提示して相手の反応を見る」という交渉術を米大統領の立場で実践しているのだろうが、関税などを背景に領土的野心を露わにする手法は、国際社会のルールを軽視するものと映る。
ロシア側の反応も冷ややかだ。ペスコフ報道官はグリーンランド買収の動きを「歴史に名を刻む(空想的な)話」と突き放し、ドミトリエフ大統領特別代表にいたっては「大西洋横断連合(米欧同盟)の崩壊。ダボス会議で議論すべき深刻な議題だ」と、同盟の亀裂を揶揄している。
また、メドベージェフ前大統領も、NATOの枠組みにいながら関税で罰せられる欧州諸国の苦境を、皮肉混じりに指摘している。
トランプ大統領は「対抗すべきは中露である」との趣旨を述べているが、現下の混乱で漁夫の利を得るのは、むしろその2国ではないだろうか。
現在の米国が何を目指しているのか、その国家戦略の一貫性を見出すのは難しくなっている。MAGA(米国第一主義)派とネオコン(新保守主義)の主張が混在し、そこに大統領個人の政治的立場や名誉欲といった個人的な動機が絡み合っていると解釈しなければ説明が付かず、政策が混迷しているように見える。
こうした状況下では「どの国が信用できるのか」という疑心暗鬼が広がり、市場参加者はかつての通貨である金や銀などの実物資産への逃避を強めるだろう。
その流れで、実物資産としての工業金属まで物色される動きは続くと見られる(ただし、景気後退局面に入れば工業金属は売られる可能性が高い)。
今後のリスクとして注視すべきは、米欧間の相互関税に加え、欧州が米国債の売却に踏み切る可能性だろう。中国と同様に「対立を深める国の資金調達(ファンディング)を支え続ける意味があるのか」という議論が欧州内でも持ち上がるケースである。
日本や中国に比べれば欧州諸国が各々保有する国債の金額は大きくはない。しかし、このシナリオが現実となれば、米長期金利が上昇し、グロース株を中心に株価は下落。リスク回避の金・銀買いが加速するだろう。
コロナショック以降の市場で見られた「過剰流動性による上昇」が逆回転することになる。欧州にとっても返り血を浴びる選択であるため、現実的ではないかもしれないが、米政権がここまで強硬な姿勢を崩さない以上、そのリスクを想定せざるを得ない。
変化そのものを否定するわけではないが、その進め方が拙速に過ぎれば、世界経済にとって甚大なリスクとなる。
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