悪くない雇用統計を受けて商品軒並み上昇
- MRA商品市場レポート
2026年1月12日 第3139号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「悪くない雇用統計を受けて商品軒並み上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格はその他農産品や畜産セクターが売られたがその他の商品は軒並み水準を切り上げた。注目されていたトランプ関税の最高裁判決が延期されたことで株式市場は「一時的に」安堵して買いを入れる中、スルーされていた米雇用統計は悪くはないがすごく良い内容でもなく、比較的景気にポジティブと捉えられ、金利が上昇する中でも株価は大きく水準を切り上げた。
米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+50千人(市場予想+70千人、前月+56千人)とやや弱めだったが、失業率が4.4%(4.5%、4.5%)と主に失業者の減少に寄って低下したことが確認された。
一方、平均時給は前月比+0.3%(+0.3%、+0.2%)、前年比+3.8%(+3.6%、+3.6%)と上昇している。結局「良くもなく悪くもなく」という感じで、現在の米金融政策が大きく変更される可能性は高くない。
ところが日本時間の23時、読売新聞が高市首相が解散を決意、23日に開催される通常国会の冒頭で衆議院を解散することを検討すると報じた。1月27日公示、2月8日投開票のスケジュールとしている。
高市政権の記録的な支持率を背景に「打って出る」事を決意、恐らくこの選挙は現在の高市政権の政策の信任投票という位置づけにするのだろう。高市政権は安倍政権時代に積み残した成長戦略を仕上げるとの旗印の下、財政拡張、緩和的な金融政策(一部利上げ容認)を推進している。
この政策によって、財政不安の高まり(少なくとも海外投資家はそのように見ている勢力が多い)を受けた円安と、成長戦略加速、インフレボーナスの中での株価上昇となっているが「これを容認するのかしないのかの信を問う」ことも目的と考えられる。
このコラムでも何回か指摘しているが、名目金利の上昇が名目GDPを下回る「ドーマー条件」を満たしている際、「例え財政赤字が続いても、GDPに対する借金の比率は長期的には一定の水準に収束し、財政が破綻し難くなる」と考えられている。
結局、経済成長が利払い負担を上回るため、財政状況が改善すると言うことである。
しかし、長期金利が名目成長を上回ると、利払いのために国債を増発せざるを得ず、放置すると国債の残高が無制限に増加し、金利も上昇、円安も加速してインフレが加速する恐れが出てくる。
もちろん、そのことは分かっているだろうし、日本に成長戦略が必要で、日米投資イニシアティブの枠組みを活用した国内投資の加速が必須であることは否定はしない。ただし国債の借換のスケジュールを考えると、残されている時間は3~4年程度の可能性がある。
高市政権の支持率は上がっているが、自民党の政党支持率は30%程度であるため選挙をやったとしても勝てる保証はないことを考えると、政権支持率とは裏腹に乾坤一擲の大博打を打った感は否めない。自民党が過半数を確保出来なければ、再び連立を巡って政局が停滞する可能性があるからだ。
なお、高市政権が下馬評通り勝利した場合、「中国の国家安全」を旗印に高市総理を目の敵にしている中国との関係は数年単位で改善が難しいと考えられる。
あくまで読売新聞の憶測記事のステータスであり、実際に行われるかはまだ分からない。3月頃に高市首相はトランプ大統領に米国に招かれているようだが、仮に選挙に敗北した場合これはどうなるのか。4月の米中首脳会談を控えてこのタイミングの解散は裏目に出るリスクがある。
特に米国はベネズエラに関与し、イランで発生している革命にも関与する可能性が出ており、同盟国である日本との連携は極めて重要なので滅多なことにはならないと思うが、かなり考えた上でトランプ大統領との関係を構築したのにもったいないというのは正直な印象である。
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