地政学リスクの高まりを受けた実物資産需要で総じて堅調
- MRA商品市場レポート
2026年1月14日 第3142号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「地政学リスクの高まりを受けた実物資産需要で総じて堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は穀物や非鉄金属・貴金属の一部が下落したがその他は総じて堅調な推移となった。
米国の経済統計は同国の物価が過去の指標であるが、緩やかながら低下している事を受けて現在の金融政策に大きな変化がないことを確認する内容だったが、トランプ発の世界的な秩序の大きな変化のリスクが高まっているため、「先行きがどうなるか分からない」ことから実物資産を求める動きが強まっていると見られる。
実物資産で物色しやすいのは「万が一の場合持って逃げる」ことが可能な貴金属セクターであり、次に機関投資家や機関投資家を通じた保有が可能になっている非鉄金属、という順になる(原油は現物を保有出来る参加者が実需筋に限られる)。
ただし既に金属価格の上昇が、製造業などの実需の消費に大きな影響を及ぼす水準に達しており、更なる価格上昇はレーショニングを引き起こして価格が急落する可能性は意識するべきレベルを超えている。
また、トランプ政権の政策が過去に「バブルが崩壊した時」の当時の政権の選択に近いことはリスクだろう。
具体的には「カードローン金利を引き下げる」「住宅価格を強制的に引き下げる」政策を行っている。特に後者は住宅市場バブルの崩壊に繋がった、日本の総量規制や、中国の三条紅線規制と大差は無い。
そもそもトランプ政権の政策は物価を押し上げるものばかりであり、その不具合を拙速な政策で乗りきり、今回の選挙を勝ち抜こうとする戦略なのだろう。多くのケースでそうなのだが、「ディストレス・リスク(絶望リスク)」が顕在化したとき、人間は正常な判断ができなくなる。
ではなぜそこまで拙速な政策を行うかと言えば、今回の中間選挙で共和党が敗北すれば、再びトランプ大統領の弾劾が訴追される可能性は高いからではないだろうか。
実際トランプ大統領も選挙で負ければ弾劾されると発言しており、それを自覚している。
では弾劾ができるかと言えば、下院の過半数で弾劾追訴が可能だが、実際に罷免するには上院で3分の2以上の賛成が必要となる。しかし民主党が今回の選挙で上院で3分の2を確保出来る可能性は低い。ただ、「何があるか分からない」ため焦っているのも事実ではないか。実際、トランプ大統領は不支持率の方が高い。
なお、トランプ政権の政策の不連続性は、トランプ大統領のキャラクターを使って目的を達成しようとする、MAGA派、ネオコンの意向が強く働いていると考えられる。
昨日は原油価格も上昇しているが、これは中東情勢不安の高まりが材料であることは明らかだ。
原油は取扱の難しさから現物を対象にする投機取引が難しいこと、昨晩のDOE月報でも供給過剰が長期化するとの見方が示されていることから投機は買いを入れておらず、むしろ売りを入れてきたが、中東の地政学的リスクの高まりを受けて急速にショートの買い戻しが入っていると考えられる。
中東有事は必ずホルムズ海峡の封鎖が取り上げられるが、「消費国からの大きな反発を受ける同海峡の封鎖を、イランの政権は選択しない」というのが一般的な見方だ。
しかし、展開によっては中東からの原油供給に支障が出る可能性はある。
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