CONTENTSコンテンツ

概ね予想通りのFOMC、注目は日銀会合へ
  • MRA外国為替レポート

2025年12月15日号

◆先週の市場総括


先週はFOMCが最大の注目イベントだった。事前に利下げは確実視されていたが、タカ派的な利下げ、今後については慎重な姿勢が示されるとの見方が強まった。

米長期金利の上昇とともにドル円相場は堅調。また植田総裁が国会で長期金利急騰に対して国債購入増額などを実施して鎮静化すると述べたことが円安を促した。

日本国債利回りの上昇は一服。ドル円相場は週初に155円台前半で始まったが157円目前に上昇。ユーロ円相場も180円台後半から182円台後半へ。

FOMCの結果は予想通り0.25%の利下げ。利下げ反対が前回から1名増加。しばらく利下げ休止が示唆された。ただ同時に短期の財務省証券の購入を開始し、流動性供給を実施することが決定されたことがハト派と受け止められた。

ドル円相場は上昇一服。その後週末にかけて155円台後半から156円台前半を中心にもみ合い。

一方、株価は流動性供給を好感して堅調。VIX指数が14ポイント台に低下するなどリスク選好が持ち直し。これがクロス円相場を押し上げ。ユーロ円相場は連日最高値を更新して週末は183円台をつけた。

米国ではAI関連株、半導体関連株が調整。日本株にも下げ圧力となった。ただ週末には日経平均が51,000円をつけるなど全般に日本株は堅調を維持。引けは50,800円台。

月曜日の東京市場では日経平均が小幅高。前週末の米国株高を受けて内需株中心に幅広く買われ一時前週末比+200円高。一方、日銀の利上げ観測、長期金利上昇が重石。主力ハイテク株に売り。円安は輸出関連を支え、出遅れの内需関連がしっかりだった。引けは前週末比+90円高の50,581円。

為替市場では円が軟調。ドル円相場は155円20銭で始まり午前中の仲値にかけて154円90銭に下落したあとは午後から欧米市場にかけて堅調。米国市場早朝には155円60銭まで上昇した。

その後日本時間深夜に東北地方で大きな地震が発生すると円安に振れ156円ちょうど近辺に続伸。引けは155円90銭台。

ユーロ円相場は180円70銭で始まり50銭に下落したあと欧米市場にかけて181円30銭へ上昇。その後は10銭~30銭で上下してあと181円50銭に上昇して引けた。

ユーロドル相場は動意薄、狭いレンジでもみ合い横ばい。東京市場では1.1640で始まり欧州市場にかけて1.1660に上昇したがそこまで。米国市場では1.1620~40で上下して引けは1.1640。

米国株は小幅安。FOMC前に持ち高調整の売りが優勢。長期金利上昇が重石。NYダウは前週末比▲215ドル安の47,739ドル、ナスダックは▲32ドル安の23,545ドル。米長期金利は上昇。10年債は4.168%、2年債は3.579%。

火曜日の東京市場では日経平均が小幅続伸。FOMC前で様子見姿勢が強まるなか、AI関連、フィジカルAI関連、が堅調だった。値がさハイテク株にも買いが波及してしっかり。引けは前日比+73円高の50,655円。

為替市場では円安が進んだ。ドル円相場は155円90銭台で始まり80銭~156円ちょうどでもみ合い。午後に入ると夕刻にかけて156円40銭までドル高円安が進んだ。

日銀の植田総裁は午後の衆議院予算委員会で、長期金利が急騰すれば、安定的な金利形成を促す観点から機動的に国債購入増額などを実施する、と述べた。これが金融正常化に逆行すると受け止められ円安要因に。

欧州市場では一時156円ちょうどに下落したものの米国市場では156円90銭へ上昇しもみ合い引け。

ユーロ円相場は181円40銭~60銭でもみ合いのあと夕刻にかけて182円10銭台へ上昇。その後181円70銭に反落したものの米国市場では182円60銭台へ上昇してその後は30銭~50銭で上下して引けは182円50銭近辺。

ユーロドル相場は引き続き動意薄。小動き横ばい。東京市場では1.1640で始まり夕刻は1.1630~60。米国市場では1.1610~40で上下して引けは1.1630。

米国株はまちまち。この日はFOMCの1日目が開催された。市場は翌日の結果待ち。様子見姿勢が強かった。上値では利益確定売りや持ち高調整売りが重石。ディフェンシブ銘柄や消費関連株がしっかり。ダウは一時+200円高となるも売りに押されマイナス圏に下落した。NYダウの引けは前日比▲179ドル安の47,560ドル、ナスダックは+30ドル高の23,576ドル。

米長期金利はさらに上昇。10年債は4.189%、2年債は3.615%。

FOMCでは利下げ実施が確実視されるものの、数名が反対する可能性、公表される政策金利予測は9月と変わらず市場の利下げ期待よりタカ派的となる可能性、FRB内の意見対立がなお続いていることからパウエル議長が次の利下げが全く不透明であると表明する可能性、などが取り沙汰された。

タカ派的な利下げとの見方が強まりドル金利先安観を後退させた。

発表された雇用動態調査(JOLTS求人数)は、9月が7,658千人で前月7,227千人から増加、10月は7,670千人とさらに増加して市場の予想を上回った。

水曜日の東京市場では日経平均が3営業日ぶりに反落。半導体関連の下げが目立った。FOMC前で様子見姿勢が強く持ち高調整の売りが優勢。円安は輸出関連を支えたが、一時▲300円安に下落した。引けは▲52円安の50,602円。

為替市場では円安一服。ドル円相場は156円90銭で始まり朝方50銭台に下落。その後は60銭~80銭で上下し夕刻には一時156円90銭近辺。その後欧米市場では軟調となり156円20銭台まで下落してFOMCの結果待ち。

結果を受けて156円10銭~70銭で乱高下したあと、パウエル議長の会見を受けて155円80銭へ下落。引けは156円10銭近辺。

ユーロドル相場は東京市場では1.1630で始まり米国市場朝方まで小動き。1.1630~40でFOMC結果待ち。結果を受けて1.1650~1.17ちょうどで乱高下したあと1.1690で引け。

ドルインデックスは下落して98.65。

ユーロ円相場は方向感なくおおむね182円台前半で上下動。182円50銭で始まり182円ちょうどに下落したあと、182円60銭に持ち直し、182円10銭近辺へ下落と行って来い。その後は持ち直して引けは182円50銭近辺。

FOMCでは予想通り政策金利は0.25%引き下げられた。FF金利誘導水準は3.75~4.00%から3.50~3.75%へ。今回は2名が据え置きを主張して反対。ミラン理事は0.50%の利下げを主張して反対。

声明文では、経済活動は緩やかに拡大、とされ、FF金利のさらなる調整の程度とタイミングを検討する際にはデータ、見通し、リスクバランスを慎重に評価する、と記された。

ここまで3会合連続で利下げを実施してきたが、この文言は利下げの一時休止を示唆すると解釈された。一方、失業率は低くとどまっている、との文言は削除された。

メンバーの予測では成長率見通しは9月予測から上方修正、インフレ見通しは下方修正、失業率見通しはほぼ変わらず、FF金利見通しも中央値は9月予測と不変だった。2026年は3.4%、2027年は3.1%。ただ引き続き予測は大きくばらついたまま。

想定外だったのは短期国債の購入開始決定。準備預金残高は十分に減少したとして、市場への資金供給を拡大することが決定された。

パウエル議長は会見で、労働市場は徐々に冷え込んでいる、雇用の下振れリスクは最近高まっている、インフレ率は依然としてやや高い、FRBは会合ごとに決定を下す、数か月間は旺盛な財務省証券の購入を続ける、と述べた。

米長期金利は低下。10年債は一時4.13%に低下して4.158%、2年債は3.544%。米国株は上昇。

FOMCでは予想通りの利下げ、今後の利下げには慎重な姿勢がみられたが、流動性供給拡大は想定外で株式市場は好感した。NYダウは前日比+497ドル高の48,057ドル、ナスダックは+77ドル高の23,654ドル。VIX指数は15.77へ低下。

木曜日の東京市場では日経平均が続落。FRBの利下げ、米株高を受け買いが先行。一時+270円ほど上昇した。しかし材料出尽くしとの見方から売り優勢に転じ下落。

米国市場時間外でオラクル株が急落。これを受けて関係が深いソフトバンクグループ株が急落。1銘柄で指数を▲280円押し下げた。日経平均は一時▲500円超下落。投資家心理が悪化して海外勢も売り。引けは▲453円安の50,148円。

ドル円相場は156円10銭で始まり朝方に一時155円50銭に下落し60銭~80銭で推移。午後には持ち直して東証引け頃には156円10銭台。

その後欧州市場から米国市場にかけて一転して円高に振れて155円割れ。その後、米国市場引けにかけて持ち直して155円60銭~70銭で取引を終えた。

ユーロ円相場はドル円相場と同様の値動き。円の上下動が主因。182円50銭で始まり朝方182円ちょうどに下落。その後東証引けにかけて反発して182円30銭~60銭で推移。

その後欧米市場にかけて急反落して181円90銭。米国市場引けにかけては持ち直して182円60銭~70銭で取引を終えた。

ユーロドル相場は堅調。東京市場では1.1690で始まり1.1710に上昇したあと1.17をはさんで上下。夕刻から欧州市場にかけては堅調に推移して1.1760へユーロ高ドル安。引けは1.1740。

米国株はまちまち、ダウは堅調、ナスダックは下落。利下げが景気を下支えるとの期待から景気敏感株、消費関連株がしっかり。長期金利の低下も支えた。

オラクル株が前日の時間外に急落してハイテク株全体を下押した。NYダウは前日比+646ドル高の48,704ドル、ナスダックは▲60ドル安の23,593ドル。VIX指数は14.85へ低下した。

米長期金利は低下。10年債は4.154%、2年債は3.538%。

発表された週次の失業保険申請件数は新規申請が236千件と前週192千件から増加。継続受給は1,937千人から1,838千人へ減少した。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅反発。米国株、NYダウが上昇したことを受けて朝方は幅広い銘柄が買われた。また日銀の利上げ方針を材料に銀行、保険など金融株に買い。

一方、次週のイベントや材料を前に買い上がりに慎重な姿勢もみられた。一時+900円高も51,000円台では上値が重かった。引けは+687円高の50,836円。TOPIXは最高値を更新した。

ドル円相場は155円60銭で始まり欧州市場にかけて60銭~80銭を中心に上下動。米国市場朝方には156円10銭に上昇したが上値も重く155円70銭~90銭で上下して引けは155円80銭近辺。

ユーロ円相場は182円60銭で始まり欧州市場にかけて終始60銭~90銭でもみ合い上下動。米国市場では183円10銭に上昇し引けは182円10銭台。堅調が続いて連日最高値を更新している。

ユーロドル相場は終始小動き。1.1740で始まり小動きもみ合い横ばい。欧州市場では一時1.1720に下落したが底固く引けは1.1740。

米国株は下落。AI投資への不透明感が重石となった。オラクルがAIデータセンターの完成が2027年から2028年に遅延すると報じられたことでなお下落基調。半導体受注増も利益率悪化懸念、投資の回収への懸念が強まった。ハイテク全体に売りが波及。ブロードコムが大幅安になるなど半導体関連の下落が目立った。

NYダウは上昇して始まったが下げに転じた。引けはNYダウが前日比▲245ドル安の48,458ドル、ナスダックは▲398ドル安の23,195ドル。VIX指数は反発して15.74。

米長期金利はまちまち。10年債はやや上昇して4.186%。2年債はやや低下して3.526%。

◆今週の3つの注目ポイント


1.日銀金融政策決定会合、植田総裁会見

今週18日・19日の2日間、日銀金融政策決定会合が開催される。結果は19日金曜日の昼頃判明、15時半から植田総裁が定例会見を行う。

今会合では政策金利を0.50%から0.75%へ0.25%利上げを実施と予想されている。注目は今後の金融政策運営方針。利上げ継続姿勢を明確に示すか。中立金利の水準について何らかの示唆はあるか。

現状1.0%から2.5%と幅広いレンジとしているが、これを絞り込もうという方針が示されている。

レンジ下限の引き上げがあれば、利上げ余地ありとして金利先高観が強まろう。政権との折り合い、低金利継続への圧力ないし利上げ容認との塩梅はどうかも気になるところ。

2.日本の経済指標

足元の経済指標は日銀の利上げを妨げないか、円安を促す可能性はないか。月曜日に日銀短観(12月期)が発表される。業況判断DIは大企業製造業、非製造業ともにわずかに改善が予想されている。

製造業の現状判断は前回14に対し予想15、先行き判断は前回12、予想13。非製造業の現状判断は前回34、予想35、先行き判断は前回28と変わらずの予想。

水曜日に通関統計(11月)が発表される。貿易収支は季節調整前で700億円ほどの黒字予想、前月は▲2,300億円の赤字。

機械受注(10月)は前年同月比が予想+3.7%、前月+11.6%)、

金曜日に消費者物価指数(11月)が発表され、総合指数は前年同月比、予想+2.9%、前月+3.0%。除く生鮮食品は予想+3.0%で前月と不変。除く生鮮食品・エネルギーは予想+3.0%、前月+3.1%からやや鈍化も高止まりとみられている。

3.米国の経済指標

今週も遅れていた政府部門所管の経済指標の発表が続く。利下げ期待を継続する弱い数字が示されるか。あるいは景気の底固さを示すか。

月曜日 NY連銀製造業景気指数(12月、予想10.0、前月18.7) NAHB住宅市場指数(12月、予想39、前月38)

火曜日 PMI景況感指数(12月速報、製造業、前月52.2、サービス業、前月54.1) 雇用統計(11月、非農業部門雇用者数前月比、予想+50千人、前月+119千人、失業率、予想4.4%で前月と不変、平均時給、前年同月比、予想+3.6%、前月+3.8%) 小売売上高(11月、前月比、予想+0.2%、前月+0.2%)

木曜日 消費者物価指数(11月、前年同月比、前月+3.0%、コア、前月+3.0%)、週次の失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月、前月▲1.7)

金曜日 ミシガン大学消費者態度指数(12月確報)

ほか月曜日に中国の主要経済指標(11月)が発表され、小売売上高は前年同月比、予想+2.8%、前月+2.9%、鉱工業生産、予想+5.0%、前月+4.9%、固定資産投資、予想▲2.3%、前月▲1.7%。

木曜日にECB理事会が開催され政策金利(中銀預金金利)は2.0%で据え置き予想。ラガルド総裁が会見で利下げ打ち止め、次の一手の方向感を示唆するか。

◆今週のMRA's Eye


概ね予想通りのFOMC、注目は日銀会合へ

先週開催されたFOMCはおおむね事前の市場予想通りだった。政策金利は0.25%引き下げ。利下げは9月、10月、に続いて3会合連続となった。

今回は据え置きを主張する反対票が増加する可能性が見込まれていたが、前回1名に対して今回は2名。これも予想の範囲内、あるいは事前の意見対立を考えるとやや少ないほうか。

注目されたメンバーの予測については、成長率見通しの上方修正、インフレ率見通しの下方修正となったが、これも予想通り、修正幅も想定の範囲内だった。今後の利下げの有無やペースは一段と不透明になると想定されていたが、声明文で次回の据え置きが示唆された。

昨年の12月に一旦停止した際に記された、さらなる調整の程度とタイミングを検討する際には、データ、見通し、リスクバランスを慎重に評価する、との文言に修正されたため。一方で最近の雇用情勢悪化を反映して、失業率は低くとどまっている、との文言が削除された。

メンバーの政策金利予測は、中心値こそ2026年に1回、2027年に1回、で前回9月の予測と変化がなかったが、依然として大きく見方が割れている。ここまでの内容は想定通りのややタカ派的利下げということになる。

ただ想定外だったのは財務省証券(短期国債)の購入開始を決定したこと。準備預金残高は十分に減少した、としてバランスシートの拡大、流動性供給に踏み切った。

パウエル議長は、今後数か月間は旺盛な購入を続ける可能性がある、とした。株価が堅調に推移しAI関連株にはバブルとの懸念があるなか、株価上昇をさらに促すような流動性供給増は意外感がある。

ただ市場の資金需給が引き締まっている可能性、年末に向けての流動性需要の増加、休暇シーズン入りによる市場参加者減少による不測の事態、などが理由として推察される。

今後数か月間、としたことは、季節要因以外に金融市場のリスク、クレジット市場の混乱などを気にしている可能性もあろう。あるいは株価がなおも堅調に推移しているからこそ、調整リスクが高いとみてそれに備える意味もありそうだ。

これらを総合すれば、タカ派的利下げとの想定は予想通りの結果、ただ流動性供給の開始は想定外で、事前予想に比べてややハト派の結果だったといえる。

今週はECB理事会、日銀の金融政策決定会合が週末にかけて開催される。ECBはすでに利下げ打ち止めを明確にしており、今回は金利据え置きが確実だ。焦点は次の一手が利下げとなるのか、あるいは利上げとなるのか。

市場では次は利上げとの見方が強まっており、ECBメンバーにその見方を肯定するコメントがみられる。

足元ではインフレ率は2%台前半で落ち着いている。すでに政策金利を2%まで引き下げていること、景気が底固さを増していること、からさらなる利下げを実施する理由はない。

逆にインフレ率が大きく反発するようなことがない限り、早々に利上げに転ずることもなさそうだ。

先進各国ではインフレ率低下が一服しており、十分な利下げを実施してきた国においては利下げ打ち止め感は強い。

カナダではインフレ率が2%台前半に低下。政策金利は2.25%まで引き下げており、やはり利下げ打ち止め姿勢に転じたようだ。

唯一早晩利上げが視野に入るのがオーストラリアだ。インフレ率は2%まで低下したあと3%台へリバウンド。利下げを実施したあとにインフレ率が反発、内需が堅調に推移しているだけに、オーストラリア準備銀行の焦りはあろう。

四半期に1回、3会合利下げを実施したあと11月は休止。次の2月の会合では利上げの可能性が漂う。

そうしたなか日銀は今週の会合で0.25%の利上げを実施するのが確実とみられる。

やや長い目でみれば、世界的なインフレ率急騰局面において超金融緩和を維持してきた。遅れてインフレ率が上昇したあとも、政策金利の調整、金利正常化や利上げは非常に緩慢。ようやく正常化が軌道に乗り始めた矢先に、高市政権のリフレ政策、日銀に対する金融緩和維持圧力に直面した。

ただこれまでの利上げ、金利正常化は非常に緩慢で、政権に配慮を続けてきたともいえる。

高市政権の政策に対する市場のネガティブな反応を受け、コミュニケーションあるいは政策そのものに変化もみられ、政権はリフレ政策を前面に出すことは控え始めたようだ。

その流れのなかで日銀の利上げも容認したとみえる。注目は今後の金利正常化にどれほど前向きな姿勢をみせるか。消極的なスタンスが垣間見えれば市場は政権からの圧力を見透かすことになろう。

今回か、次回以降かは不明だが、中立金利の議論も注目される。

植田総裁は、かねてから1%~2.5%の広いレンジを示していた。今回の利上げで政策金利は0.75%。次に利上げをすれば下限に到達する。この点、最近、総裁は検討が進み次第、このレンジをもう少し狭くしたいと述べた。

仮に下限の1%が引き上げられるようなら、利上げの余地が拡大することになる。

中立金利以下であれば、利上げを実施してもなお緩和的ということになる。政治・政権と金融政策について議論する際に、利上げという方向感ではなく、金利水準であり、景気にとって緩和的と主張はできよう。

利上げが長期金利上昇を招くリスクについても政治から懸念ないし注文がつく可能性もある。

先般、植田総裁は、市場の混乱によって長期金利が急騰する局面では国債購入などで対応すると述べた。こうした発言は、またしても金融緩和に傾いたというよりも、利上げ継続のための地均しとも解釈できる。

そもそも、海外の長短金利差からみれば今までが異常だった。これはイールドカーブコントロールという異次元の金融政策で日銀が国債を買い支えた結果だ。

国債購入を停止し、金利も正常化するなか、10年債利回りが2%を超えるのはむしろ当然。財政悪化による異常な金利上昇というより、これまでのところは正常化の過程との見方が大勢だ。

今回は、景気物価動向に対する見方のみならず、債券市場や為替市場の動向をどのように判断しているのか、あるいはどのように考慮するのか、などにも注目される。

海外中銀のなかに利下げ打ち止め、なかには次の一手は利上げとの動きもみえるなか、ハト派スタンスを示せばなお円安が継続する可能性がある。

FRBがややタカ派的利下げとなるなか、円安が修正されるには、少なくとも日銀がタカ派的利上げとのニュアンスが示される必要がありそうだ。


主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
【MRA外国為替レポート】について