米統計悪化を受けた利下げ期待で上昇 エネルギーは宇露情勢で下落
- MRA商品市場レポート
2025年11月26日 第3110号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米統計悪化を受けた利下げ期待で上昇 エネルギーは宇露情勢で下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格はエネルギーが下落したが、その他の商品は水準を切り上げるものが目立った。エネルギーは宇露停戦でウクライナが同意したとの報道に加え、米経済統計(個人消費関連)が減速したことで需給緩和観測が強まったことが背景。
ただ、宇露停戦合意報道に関しては、両国の停戦条件に乖離があるため、本当に停戦合意となるのかは引き続き発表待ちとしか言えない。特に、ウクライナへの再度の軍事侵攻を可能にするロシアに対する経済制裁の解除があるのかどうかがポイントとなる。
また、実際に停戦となれば今度は宇露ともに復興需要が発生するため、特に建築建材などを含む非鉄金属価格の上昇要因となり得る。
一方、その他の商品は米統計減速に伴う利下げ期待が高まったことで株価が戻りを試したことから、これに連れる形となった。このコラムで繰り返し主張しているように「買いを入れても良いテーマがある商品」は特に下期以降、株との歩調を強めている。
対象となるのは流動性の高い金と銅などになるが、セクター全体はこれら2つの価格動向の影響を受けやすい。
そして足元の株価は金融政策動向が左右している。株で言うところの流動性相場だろう。昨日発表された米統計は弱めのものが多く、12月の米利下げを肯定するもの。特に金利が低下する局面では、バリュー株の将来キャッシュフローの割引率が低下するため、将来の期待キャッシュフローの方が大きいバリュー株(特にAIをはじめとするテック株)の上昇要因となりやすい。
引き続き発表される経済統計、あとは米国の景気そのものである原油価格動向に注目して行く必要がある。株価動向、原油価格動向ともにまだ不透明な状態。
そして11月末のファンド決算、12月の年度末を控えて利益確定の動きは出やすく、かつ、サンクスギビング、クリスマスを控えて徐々に流動性は低下し、下落・上昇時の振れ幅が拡大しやすくなるため、ボラティリティの上昇が懸念される。
この場合、図らずも大幅な上昇・大幅な下落となることがあるため、ヘッジなどのタイミングを図っている企業はそれに備えて置く必要がある(実際に行動をしようとした場合に、速やかに動けるように社内の合意を得ておくことなどの事前対応)。
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