宇露停戦期待で原油下落 金属セクター堅調
- MRA商品市場レポート
2025年11月20日 第3106号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「宇露停戦期待で原油下落 金属セクター堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は非鉄金属や貴金属などの金属セクターが上昇したが、エネルギーや穀物、その他農産品は売られた。金属価格の上昇は今年のある意味テーマである「株と金属価格の連動性」に着目した買いが、株式市場の反転を受けて入ったことによる。
エネルギーに関しては、ポリティコが今週中にも米露が宇露停戦で合意するとの報道が材料となり、売られる形となった。
しかし、これまでの報道をみるに、宇露の停戦条件には大きな乖離があること、仮に停戦してその後に制裁を解除した場合、プーチンの性格を考えると高い確率で再びウクライナに軍事侵攻すると予想されるため、停戦合意=制裁解除=原油供給再開、とはならないとみられるが、市場参加者はこのあたりの報道は反射的に対応しやすい。
あるいは人間が直接ではなくても、アルゴリズム売買を行っている場合、地政学関連のワードを拾った時に自動的に反応、ということは十分有り得る。
需給ファンダメンタルズの弱い商品価格が、投機主導で需要がなくても価格が上昇するということはなかなか難しいが、全体の価格が高止まりする中ではそれに連れて名目価格の水準が高止まりするということは考えられる。
恐らく現在の商品価格は、過剰流動性が滞留する中で、名目価格が高止まりしている状況にあるといえる。恐らく、コロナ前の過剰流動性供給がそこまで大きくない状態であれば、Brent原油は40ドル程度でもおかしくない。
過剰流動性の供給も影響しているだろうが、その影響で消費者物価も上昇しており、2020年から直近までの米国の物価上昇率は平均で恐らく4.5%程度である。
2021年初のBrent原油は50ドルであるため、年率4.5%分、名目価格が上昇したとすると62ドルという数字が出てくる。銅の場合は7,700ドル程度だったので、これに当てはめると9,600ドルという水準が出てくる。
この観点のみ(需給ファンダメンタルズなどは議論の対象としない)を考慮すると現在の価格水準はそれほどおかしな水準ではないが、銅はやや割高といえる。
しかし、この状態で円安が進行していることは、個人消費が主体の日本においては由々しき事態である。
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