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米政府閉鎖解除期待で軒並み上昇
  • MRA商品市場レポート

2025年11月11日 第3099号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米政府閉鎖解除期待で軒並み上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は発電燃料の一角とその他農産品の一部が下落したのみで、その他の商品は全て上昇した。

米政府機関閉鎖が早晩解除になる見通しとなったため、その楽観から株価が上昇、株の上昇に連れる形でほとんどの商品が価格水準を切り上げた。

今年は年初はトランプ政権の関税政策が材料だが、同時にじわりと金融緩和が継続、更に金融緩和と平仄が取れていなかったQTの停止も決定されたことで、商品市場は金融相場の様相を呈している(株で言うところの業績相場ではなく、流動性相場という意味)。

この結果、金や銅など、今年のテーマとなっている金属セクターはほぼ分単位で株価と同じ値動きをしており、アルゴリズム売買が価格を左右していることをうかがわせる状況。結局、今年の主役は株であり、AIであり、流動性であることを示唆している。

しかし、この状況が続けば名目価格が上昇するため消費に悪影響が及ぶ可能性が高い。更にAIなどによる人的資産のリプレースの影響から、雇用環境が悪化している可能性が出てきている。統計が発表されていないため詳細が分からないが、AIの普及に伴い低位~ミドルクラスのIT人材が解雇されている可能性が出てきた。

結果、低所得者の生活維持、あるいは個人の特にクレジットを対象としたビジネスの破綻リスクが高まるため、当局からは金利負担を引き下げる(利下げ)圧力が掛かる可能性は高い。

ただし、上述の通り過剰流動性や米政府のみならず、世界的に政府が牽引しているAIが株バブルを助長し、それがその他の商品価格に影響を及ぼしているため、ここでの利下げが更にインフレを助長する可能性は排除出来ない。

なお、AI関連で上昇している商品は銅(データセンター向けなど)が上げられるが、この数ヵ月はAI向けの電力消費増加に伴い、電力価格が上昇(ないしは電力不足)して、銅の代替品であるアルミの生産コストが上昇して価格が押し上げられるリスクが指摘されている。

ただ、「それを材料にした投機買い」が価格を押し上げていることは忘れてはならず、常に逆回転のリスクはある。そしてAIを主語にしたリスク資産価格の高騰の影響が広範にわたっているため、逆回転時のリスクは小さくない。


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