テック関連株下落で逆回転 総じて軟調
- MRA商品市場レポート
2025年11月5日 第3095号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「テック関連株下落で逆回転 総じて軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格はその他農産品や発電燃料価格が上昇したが、その他の今年の商品セクター上昇を牽引して来た金属セクターなどは大幅な下落となった。大手投資銀行幹部がテック株の割高感を警戒する発言があった事で、株が大幅に下落、11月末のファンド決算を意識した利益確定の売りが商品価格も押し下げた。
ゴールドマン・サックスのソロモンCEOや、モルガン・スタンレーのピックCEOが今後12-24ヵ月で10%以上下落する可能性があると指摘したようだ。これが材料になったということだが、それ以上に11月末を意識して「その発言をきっかけに」利益確定を行ったと考えるのが妥当であり、諸々の需給ファンダメンタルズが変わったというよりは、センチメント要因だったと考えられる。
そもそも過去のデータを見ると、どこの時点から10%下がったのか?にもよるが数週間掛けて株価がピークから▲10%以上下落することは多数発生している。12-24ヵ月のタイムラインであればなおさらだろう。
S&P500の予想EPSは来年+10%に増加するとみるアナリストが多いことを考えると、強気見通しがコンセンサスになっているようだ。しかしPERは直近で25倍と一般論として割高の水準にある。長期平均と同じ水準(15-18倍とされる)まで低下するかどうかは分からないが、仮に平均をやや上回る20倍程度までの調整した場合、株価には▲20%のマイナスとなる。
EPSの上昇とPERの低下を考慮すると概ね▲10%の下落があるとしてもおかしくはない。そのため投資銀行のCEOのコメントは別に逸脱した見通しではない。
しかしPERは市場のセンチメント、リスク選好の指標であるためこれが大きく低下すると言うことは、相応にリスクオフが進む可能性があるということであり、流動性が総じて株式市場よりも低い商品市場は、大幅な調整リスクを内包して足元上昇していると言える。
この場合、多くの商品に下押し圧力が掛かることが予想されるが、恐らくそのときに最も大きく下落するのは金ではないかと考えている。利息が付かないため、特にファンドなどが株の調整売りの時に利益確保のために金で利益確定を行うと予想されるためである。最終的に欲しいのは「評価益」ではなく、キャッシュそのものであるためだ。
しかし、予測は予測であり、正直当たることも当たらないこともある。問題は想定以上のことが発生した場合の「リスク顕在化時」だろう。上述のようにそのようになる可能性があるなら、下落リスクとそれに伴う財務上の影響を数値として把握しておく必要がある。
足元は上昇リスクへの備えで良いが(特に金属)、下落リスクも同様に考える必要があるということである。
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