中銀ウィーク、とくに日銀会合に注目
- MRA外国為替レポート
2025年10月27日号
◆先週の市場総括
先週は日本では高市政権が正式に発足。週初から日本株は急騰し5万円の大台に迫った。政権発足で利益確定売りに押される場面もあったが持ち直し週末は49,300円近辺で引け。
米国株は堅調。日本株の支えに。米中貿易摩擦をめぐる不安と安堵で上下したが、最終的には米中首脳会議開催との報道で安心感が勝った。CPIがインフレの落ち着きを示したことや、PMI企業景況感指数が改善したことも支え。週末にかけて堅調に推移し、主要3指数は連日上昇した。
ドル円相場は堅調。週初は150円台半ばで始まり、高市政権の政策をにらむ円売り、あるいは株価堅調による円売りが嵩んだ。ドル円相場は週末にかけて153円ちょうど近辺まで上昇して高値引け。ユーロ円相場も175円ちょうどで始まり週末には177円台後半まで上昇した。
月曜日の東京市場は日経平均が大幅高。前場の引けにかけて49,000円目前に上昇。後場に続伸し引けにかけて上昇し初の49,000円台での引けとなった。
高市首相誕生が確実な情勢となり不透明感が解消。米株高、米中貿易摩擦の緩和も支え。米地銀への過度な警戒も緩和。高市トレードが再開し防衛・ハイテク関連が堅調。引けは前週末比+1,603円高の49,185円。
ドル円相場は底固く推移。150円40銭で始まり朝方から上昇し仲値近辺では151円20銭へ上昇。ただその後は反落して150円台後半を中心に上下。欧州市場では70銭~80銭。米国市場でもおおむね150円台後半での上下動となり引けは150円70銭。
ユーロ円相場は175円40銭~60銭で始まり仲値近辺には176円30銭台へ上昇。その後は反落して175円台後半で上下動。欧州市場では30銭~80銭で上下したあと米国市場では175円40銭~50銭で小動きもみ合い横ばい。
ユーロドル相場は動意薄。東京市場では1.1660台で始まり一時1.1630へ下落したが反発し1.1670近辺でもみ合い横ばい。海外市場でも小動き横ばいのまま1.1640で引けた。
米国株は大幅高。米中対立の緩和期待が支え。ベッセント財務長官は、今週中にも中国の何立峰引く首相と対面協議を実施する、と述べた。
トランプ大統領は、米中貿易協定締結へ楽観的な見方を示し、近々のAPECに乗じて首脳会談の実施及び来年訪中の可能性に言及した。また政府機関一部閉鎖の会場が近いとの見方も支え。
民主党支持者のデモが終結し、週内にもつなぎ予算成立の可能性があると報じられた。NYダウは前週末比+515ドル高の46,706ドル。ナスダックは+310ドル高の22,990ドル。VIX指数は18.23へ低下。
火曜日の東京市場では日経平均が小幅高。朝方から急騰して前場に一時49,945円と+700円超上昇して5万円の大台に迫った。米中緊張緩和期待による米株高、国内政局不透明感の解消、高市首相誕生、が支え。海外筋が先物に断続的に買いを入れた。
一方、午後に国会で高市氏が首相に指名されると短期筋から材料出尽くしによる利益確定売りが出て一時は前日比マイナスまで押し戻された。引けは+130円高の49,316円。
ドル円相場は150円70銭で始まり150円台後半で上下したあと昼には151円10銭近辺へ上昇。その後東証引けの15時頃にかけて151円60銭へ続伸した。その後は10銭に反落したが、欧州市場から米国市場朝方にかけて152円10銭台へ続伸。その後は151円40銭台へ反落して持ち直し151円90銭近辺でもみ合い引けた。
ユーロ円相場も同様の値動き。175円40銭~60銭で始まり午後には176円20銭へ上昇。175円70銭に反落したあと米国市場朝方にかけて176円60銭へ上昇した。その後は175円80銭に反落したあと176円40銭へ反発して引けは176円20銭。
米国株はまちまち。NYダウは最高値更新、ナスダックは下落、S&P500は前日と変わらず。好決算が手掛かり。米地銀の信用懸念への過度な警戒は後退。米地銀株下落は一服、歯止めがかかった。 VIX指数はさらに低下して17.87。NYダウは前日比+218ドル亜tかの46,924ドル、ナスダックは▲36ドル安の22,953ドル。
米長期金利はやや低下。10年債は3.964%、2年債は3.455%。この日注目されたのは金。下げ幅は5%に及び1日の下落幅としては過去最大となった。このところの急騰から利益確定売りが急速に拡大したとみられる。資金の流れが逆流しているシグナルとの懸念もみられた。
水曜日の東京市場では日経平均が小幅下落。これまで急騰してきた銘柄に利益確定売りが嵩んだ。ただバリュー株やディフェンシブ株に物色が広がり全面安とはならず。ソフトバンクやアドバンテストなどハイテク半導体関連は下落。金価格の急落で関連銘柄の下げも目立った。引けは前日比▲8円安の49,307円。
為替市場は動意薄。ドル円相場は151円90銭で始まり50銭に下落したが152円ちょうど近辺まで持ち直し。その後は欧米市場を通じて151円60銭~152円ちょうどの間で方向感なく上下動横ばい、引けは151円90銭台。
ユーロドル相場も終始狭いレンジで横ばい。東京市場では1.16ちょうど近辺で始まり上値重く横ばいもみ合い。欧米市場では1.1580に下落したあと1.16台にもち直し引けは1.1610。
ユーロ円相場は176円20銭で始まり朝方175円80銭台に下落したが176円30銭台へ反発。その後欧米市場では175円80銭~176円40銭で上下して終盤は176円台で推移し引けは176円40銭。
米国株は主要3指数がそろって下落。米中貿易摩擦への懸念が燻ぶった。トランプ政権は米国製ソフトウェアを搭載した製品の対中輸出規制を検討。中国のレアアース輸出規制への対抗措置。
今週から来週にかけて相次ぐハイテク大手決算への警戒も。自動車ローンのサブプライム貸出を担うノンバンクが破綻。信用不安が心理的な圧迫要因に。NYダウは前日比▲334ドル安の46,590ドル、ナスダックは▲213ドル安の22,740ドル。
金相場はこの日も続落。4,065ドル/オンスで引け。米長期金利は低下。10年債は3.953%、2年債は3.446%。
木曜日の東京市場では日経平均が大幅安。前日の米株安を受けて売り優勢。主力ハイテク株に利益確定売りが続いた。高市トレードの手仕舞い。値がさ株3銘柄、ソフトバンク、アドバンテスト、東京エレクトロン、で指数を▲500円ほど押し下げた。景気敏感株は底固く相対的にハイテク株が軟調。引けは前日比▲666円安の48,641円。
ドル円相場は151円90銭台で始まり底固く推移。午前中に152円40銭~50銭で上下。午後から夕刻、欧州市場にかけて一段高となり152円80銭。その後は50銭~80銭で上下動し引けは152円60銭。米株高や米長期金利上昇が支えとなった。
ユーロ円相場も堅調。176円40銭で始まり80銭近辺に上昇してもみ合い。午後から欧米市場にかけて一段高となり177円40銭台へ続伸。引けは177円20銭台。
ユーロドル相場は終始小動きもみ合い横ばい。1.1610で始まり1.16ちょうど近辺でもみ合い、米国市場終盤で1.1610~20で小動き引けた。
米国株は主要3指数がそろって上昇。AI関連株、IT関連株が持ち直した。米国がロシアに制裁を決めたことで原油価格が急騰。エネルギー関連株が上昇。米中首脳会談が10月30日に実施されるとの報道で米中対立への警戒感が緩和。利下げ期待も支え。
NYダウは前日比+144ドル高の46,734ドル、ナスダックは+201ドル高の22,941ドル。
米長期金利は株高や翌日に発表されるCPIへの警戒感から上昇。10年債は4.004%、2年債は3.490%。
金曜日の東京市場では日経平均が大幅反発。前日の米国株が堅調。引け後にインテル社の決算が売り上げ、利益ともに市場予想を上回り時間外で同社株が大幅高。
米中貿易摩擦への懸念が緩和。前日に下げていた半導体関連株が反発し大幅高。一時+700円高。決算期待や高市政権の政策への期待も支えとなった。引けは前日比+658円高の49,299円。
ドル円相場は152円50銭~60銭で始まり欧米市場まで通じてほぼ152円台後半で上下した。東京市場では夕刻にかけて堅調となり一時153円台をつけた。欧州市場では70銭台~90銭台。
米国市場朝方のCPIがインフレ鈍化を示したことで一時152円30銭台に下落したがすぐに反発。153円ちょうどをつけた引けにかけては152円80銭~90銭でもみ合い。
ユーロ円相場も同様の値動きながら底固くじり高。177円20銭台で始まり夕刻は177円70銭に上昇して60銭中心にもみ合い。米CPIを受けて30銭台に下落したがすぐに反発してもみ合いじり高。引けは177円70銭。
ユーロドル相場は1.1610~20で始まり欧米市場まで通じて終始1.16ちょうど~20で推移。米CPIで一時1.1650へ上昇したものの押し戻されて引けは1.1620~30。
米国株は主要3指数がそろって続伸。CPIがインフレの落ちつきを示し先々の利下げ期待が強まって株価を支えた。IT関連株が上昇。PMI景況感指数が強かったことも支えとなった。NYダウは前日比+472ドル高の47,207ドル、ナスダックは+263ドル高の23,204ドル。
発表された米国のCPI(9月)は前月比+0.3%と前月+0.4%から上昇鈍化し予想+0.4%を下回り、前年同月比も+3.0%と前月+2.9%からやや加速したが予想+3.1%を下回った。コア指数は前月比+0.2%と前月+0.3%から鈍化、前年同月比は+3.0%と前月+3.1%から低下した。
PMI景況感指数(10月速報)は製造業が52.2と前月52.0から改善、サービス業は55.2と前月54.2から改善し、いずれも景況感の分かれ目である50を上回った。
ユーロ圏は製造業が50.0(前月49.8)、サービス業が52.6(前月51.3)とこちらも改善した。一方、米国のミシガン大学消費者態度指数(10月確報)は速報55.0から53.6へ下方修正された。
◆今週の3つの注目ポイント
1. FOMC、パウエル議長会見
28日、29日、の2日間、FOMCが開催され結果は日本時間30日木曜日の未明3:00に発表。終了後同3:30からパウエル議長が定例会見を行う。今回の会合では0.25%の利下げが確実視されている。
FF金利誘導水準は4.00%-4.25%から3.75%-4.00%へ。政府機関一部閉鎖で経済指標の発表が捗々しくないなか、どのように現状判断しているか。
先週CPIがかろうじて発表されインフレの落ち着きを示し、市場では来年初にかけて利下げがなお継続するとの期待が強まっている。FOMCでの議論、メンバーの見方がさらにハト派に傾いているかどうか。
2. 日銀金融政策決定会合、植田総裁会見
29日、30日の2日間、日銀が金融政策決定会合を開催する。結果はFOMCの結果が判明する30日の昼頃に公表。15時半から植田総裁が定例会見を行う。市場予想では今会合では政策金利は0.50%で据え置きとみられている。
前回会合では2名が利上げを主張して据え置きに反対。今回は利上げ主張のメンバーが増えるか。高市政権が利上げに否定的とみられるなか、日銀のスタンスに影響が生じている、政権からの圧力が垣間見えるようなニュアンスがみられるか。同時に公表される展望レポートが利上げを肯定する内容とるか。
3. 日米首脳会談、米中首脳会談
28日に日米首脳会談が実施される予定。高市首相とトランプ大統領の関係が良好なかたちでスタートできるかが注目。一方的に押し切られるようなかたちになるか。あるいは対等な関係をうかがわせるかたちとなるか。
高市政権にプラス評価となり政策強化から円安のイメージとなるか、あるいは日本にプラス評価となり円安に歯止めがかかるか。
30日には米中首脳会談が開催される予定。米中貿易摩擦への懸念解消や安心感をもたらすか。あるいは対立のニュアンスから株価の重石となり、ひいてはドル安円高要因となるか。
ほか、米国の経済指標では、火曜日の消費者信頼感指数(10月)、木曜日のGDP(7-9月期速報)、金曜日の個人所得・消費支出(9月)、消費支出価格指数(PCEデフレーター)、シカゴ購買部協会景気指数(10月)、などが注目される。
また株価や市場のリスクセンチメントを左右する材料として、米企業決算、とくに大手ハイテク決算が注目。また日本でも4-9月決算発表本格化する。
木曜日にはECB理事会が開催され終了後にラガルド総裁会見を行う。こちらは利下げ打ち止めのニュアンスがさらに強まるか注目。
◆今週のMRA's Eye
中銀ウィーク、とくに日銀会合に注目
今週は日米欧で金融政策決定会合が開催される。米国のFOMCが先陣を切って火曜日・水曜日に開催され日本時間木曜日の未明に結果発表。
日銀は水曜日・木曜日に金融政策決定会合を開催し結果は昼頃に公表。午後には植田総裁が会見。その木曜日に欧州ではECB理事会が開催されラガルド総裁が会見を行う。
このうち、結果がほぼ確実なのがFRBの利下げ実施とECBの金利据え置き。日銀は据え置き予想が大勢だが、議論やニュアンスには不透明感が大きい。結果を受けての反応は日銀の決定会合が最も大きそうだ。
FOMCでは0.25%の利下げが確実視されている。すでにリスクバイアスはインフレから雇用にシフト。そうしたなか先日のCPIが落ちつきを示したことで一段と利下げをしやすい条件が整った。雇用悪化は雇用統計以外の民間の指標をみれば明確。むしろ悪化が加速するリスクに注意を払う状況だ。
市場では10月の利下げに続き、12月も利下げ実施を織り込み。これは9月会合におけるFOMCメンバーの予測中央値と一致する。さらに市場では1月会合でも0.25%の利下げが実施されるとの見方が5割程度に上昇した。そうした市場の見方が後押しされるか。
パウエル議長ほかメンバーは、景気が底固く推移しているなか、雇用の一段の悪化に備えて予防的に利下げを実施するとの考え方を示した。ただ市場の予測はもう少し踏み込んだ、景気悪化に対応した積極的な利下げのニュアンスが漂う。
声明文やパウエル議長の会見で変化がみられるか。さらにハト派なスタンスに修正しつつあるかが焦点となる。
利下げ局面であることは明確だが、利下げのペースが焦点。緩慢な利下げペース、微調整の範囲内でとどまるのか。もう少しペースを上げて、結果的に予測よりも大幅な利下げになるのか。あるいは予期させる材料がみえるか。
ECBでは政策金利据え置きが想定されている。インフレ率が目標水準まで低下し、足元では下げ止まりの気配がみられる。景気は底打ち感が強まっており、PMI景況感指数も改善してきた。すでにラガルド総裁は前回会合で利下げ停止のニュアンスを示した。
その後の状況も、むしろインフレ率がやや上昇し、景気底打ち感が強まっていることから、このまま利下げ停止となる可能性が高い。
市場では次の一手は利上げとの見方も台頭し始めた。利上げを実施するのはなお時期尚早とみられるが、ユーロ金利先高観がどの程度強まるのか、あるいは利上げはなお遠いとのニュアンスが示されるか。
ユーロの底固さが増すか。あるいは米FRBのスタンスとあいまってドル安圧力が再び強まるかが注目される。もっとも今回の会合ではそこまで大きな影響を生じる議論や結果にはならないとみられる。
結果がやや不透明かつ市場へのインパクトが大きいとみられるのが日銀金融政策決定会合だ。市場では高市政権の発足が決まった時点で、10月会合での利上げは難しく、さらに12月も難しいとの見方が強まり、1月会合での利上げが予想の大勢となっていた。
しかしここにきて、日銀当局者から利上げ継続姿勢を強調する発言が相次ぎ、年内利上げが確実視されるようになってきた。本命は12月会合だが、今回10月会合との見方も皆無ではない。
高市首相の政策スタンスがアベノミクスと同様のリフレ政策であり、積極財政・金融緩和の政策ミックスを是とするとの見方から、日銀には利上げに歯止めをかける圧力が働いているとの見方は依然として根強い。
そうした政治からの圧力を勘ぐる市場の思惑に対峙するように、当局者からはタカ派的なニュアンスの発言が続いているようにも思われる。
問題は、利上げすべき状況にもかかわらず、政治体制が落ち着いておらずコミュニケーション上の問題から利上げができない、あるいは景気物価動向からは利上げが当然にもかかわらず見送られる、といったケースだろう。
この場合は、やはり高市政権のリフレ政策推進に対する強固な姿勢を確認したとの見方が強まり、あるいは政治圧力に屈したとの見方から日銀の信認が揺らぐ事態にもなりかねない。
すでに高市首相からは日銀との連携、金融政策についても政府が責任をとるとの発言があり、これは日銀の独立性を侵食しているとの見方も強まっている。
財政悪化への懸念もなお燻ぶっておりこれも円の信認問題に影響。いずれにしても思惑による投機的な円売りを加速させるリスクがある。すでに円は全面安になっているが、さらにドル円相場が155円~160円を目指す可能性もある。
財政健全化については配慮する姿勢は表明しており、目先は日銀の出方が円の行方を大きく左右する。予想外に利上げが実施されれば、政治からの圧力は小さいとの見方が強まるだろう。
また日銀の独立性に対する信認は回復しそうだ。利上げが前倒しになれば、市場にとっては予想外の事態となり、円高方向に急変動するリスクもある。
政権の取り組む課題が物価高対策であり、そのために円安の修正をとするなら、それもありえる。
片山財務相は120円台が適正との相場観を述べていた。いずれ利上げを容認するのであれば、今のタイミングで実施するほうが効果は大きくなる。日銀会合の結果には留意が必要だ。
主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
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