米中合意期待で堅調 貴金属は安全資産需要後退で下落
- MRA商品市場レポート
2025年10月28日 第3089号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米中合意期待で堅調 貴金属は安全資産需要後退で下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーと貴金属が調整、その他は上昇した。米中通商協議が合意に至るとの観測がドル安・株高圧力となったことが材料となった。
エネルギーはロシア制裁を受けた買い戻し一巡でのうり、貴金属は通商合意期待を受けた「武器としてのドルに対する防衛」需要の後退で、特に9月以降に買いを入れてきた投機筋の売りが強まったことが背景。
通商協議は閣僚級協議で「枠組み合意」に到達しており、トランプ大統領と習近平国家主席の会談で最終調整が入る見通し。トランプ大統領は数日で最終合意するとしている。
報道を元にすると恐らく以下の合意に留まると見られる。予想通り双方とも「上げる拳を下ろすための制裁強化発言」だったようだ。
・米国が中国に対する100%関税を停止(ないしは延長、延長の可能性の方が高いか)
・レアアースの輸出規制開始を1年延期
・中国の大豆輸入再開(詳しくは農産品のコラムをご参照下さい)
しかし、先端半導体輸出規制や中国が行っている産業向けの補助金(現在非鉄金属セクターでも特に銅などでも問題に)、サプライチェーンを巡る対立、レアアース問題も1年先送りしただけであり、再開する可能性は高い。
以上を考えると、対立激化のスピードが鈍化しただけとみられ、米中の覇権を巡る争いは継続すると見られる。
米国は武器としてドルを、中国は武器としてモノのサプライチェーンを活用しているが、特に中国はドルを武器として無効化するために金へのシフトを進めている。これはある意味構造的な問題だ。
ただし、コスト面や使い勝手を考えると中国が基軸通貨を保有資産から放棄する意味は殆ど無いため、金が野放図に上昇することはないと見ている。
弊社は昨日、2026年の商品価格見通しをリリースした。今年はファンド勢力が貴金属・非鉄金属を投資対象としてきたが、来年もこれが続くかどうかは微妙であり、価格リスクはむしろ下落方向を意識した方が良いと考えている。
結局、上昇面も下落面もそうだがリスクを考えるときは両方向のリスクシナリオを想定、数値でリスク量を把握しておく必要がある。来年はIMFも指摘している下方向のリスク(特にIMFはAIバブルの崩壊、ノンバンクのリスクを上げている)と、2018年にも見られた米トランプ政権のバラマキ政策などの影響による上方向のリスク、両方のリスクがほぼ同じ確率で存在していると考えている。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
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