米中首脳会談開催決定で楽観 上昇
- MRA商品市場レポート
2025年10月24日 第3087号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米中首脳会談開催決定で楽観 上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。米中首脳会談が開催されることで安心感が広がり、株価が上昇したことに加え、米国がロシアに対する制裁を強化したことで原油価格が上昇、期待インフレ率の上昇を受けてインフレ資産が買われた。
米10年実質金利はプラスではあるが、今年7月以降はじりじりと水準を切り下げており、金融政策のスタンスはやや緩和的になってきている。ここに更に利下げが行われる見通しであること、原油価格が上昇していることを考えると、インフレ資産価格には上昇圧力が掛かりやすくなる。
ただし、米景気は減速基調にあり、雇用関連の統計は悪化が示唆されている。州別の調整前のデータに基づく分析では、先週の失業保険申請件数は22万7,000件(前週22万件)から大幅に増加している。
政府職員の失業保険申請が増加しているとの報道もあり、米雇用環境は悪化している状況。このまま関税の影響もあって物価が上昇すれば、スタグフレーションに突入するリスクも無視できない。
また、雇用環境が悪化して最終消費が落ち込めば、業績悪化で破綻する企業も増加する。既に地銀が貸し倒れ引き上げ金を積み増ししたり、プライベート・クレジットを通じた資金調達が困難になっている企業が出始めているとの報道も頻繁に目にするようになってきた。
本日、米国ではCPIが発表されるが、上記の雇用環境の悪化を受けてCPIに関係無く、今月のFOMCでFRBは利下げを断行する可能性が高い。このことも株やインフレリスク資産価格を押し上げるため、更に低所得者層の不満は高まることになるだろう。
恐らく、テック企業はAI関連ビジネスが好調(といっても現時点では人からAIへのリプレースが進むステージか)であり、こうした企業の株価は上昇して株インデックスも上昇、これを通じて特に今年、ファンドの物色対象となっている貴金属や非鉄金属価格は上昇圧力が掛かると予想される(景気減速で価格が下落したとしても、下値が切り上がっている可能性)。
この状態だと、個人の貧富の差のみならず、企業の財務体力格差が業績の優劣を拡大すると予想される。やはり、市場価格リスクの把握と制御が重要な局面に来ていることは間違いが無いだろう。
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