CONTENTSコンテンツ

米中合意期待と失望で上昇後下落
  • MRA商品市場レポート

2025年10月22日 第3085号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中合意期待と失望で上昇後下落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は上昇した商品が目立った。米中首脳会談の開催、米中貿易合意の期待が価格を押し上げた。しかしトランプ大統領が米中首脳会談が行われない可能性を示唆したことをきっかけに株が調整、引けに掛けては上げ幅を削る商品が目立った。

2025年のリスク資産価格は株、特にAIを材料にしてテック株が買われ、それが株インデックスを押し上げ、リスク資産価格の上昇に繋がるという流れになっている。この状況と背景を説明する場合、「まず価格が上昇している理由を探し、それを肯定する作業」が行われるため、ほとんどの識者のコメントは強気となりやすい。

また、買われ過ぎを指摘して調整の可能性を指摘していたアナリスト(弊社も金などについてはそのスタンスだったが)も、ショートが踏み上げられる形でその調整がある、という主張が駆逐されてしまったものも多い。

ただ、金などは米国がドルを武器として用いることをバイデン政権時代(もっと古くはオバマ政権時代)から強めてきたため、ドルを「武器として使わせないように」金にシフトしたという構造的な変化があるため、足元の価格上昇は肯定される。

しかし、9月以降の上昇はETFを中心とした投機筋(個人も含む)の買いであるため、持続可能とは言い難い(利益が出る局面では利益確定の動きが出てもおかしくない)。

一方、原油や銅などは結局のところ物価上昇で説明可能な水準を超えての上昇が難しい。工業や産業に実際に用いるためである。そのため、早晩これらの商品は価格上昇に耐えられなくなった消費者の買い手控え、ないしは代替品ヘのシフトが進むため価格は下落すると予想される(既に原油は下落しているが)。

今後のリスクとしてはやはり株価の大幅な調整だろう。足元の商品市場は大なり小なり、株価動向に影響を受けているからだ。

今のところ(というよりは以前から)指摘されているのは、商業用不動産やプライベート・クレジットを通じたノンバンクのリスク顕在化ではないか。

政治・金融政策面が強く意識されている環境であるが、発表が続く企業決算の動向も合わせて注視しておきたい。

日本では高市総理が誕生した。市場の反応は円安・株高、長期金利は高止まりとなった。

自民党も公明党離脱により後がなくなったため、高市首相も実力本位で組閣をしたという印象であり、結果、下馬評を上回る実績を残す可能性はある。


本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について