米地銀問題で高安まちまち
- MRA商品市場レポート
2025年10月17日 第3082号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米地銀問題で高安まちまち」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、金属セクターが軒並み上昇したが、エネルギーセクターは売られる流れとなった。昨日の最も大きな材料は米地銀2行の不正融資問題で信用不安が意識されたことだが、これを受けた反応は各市場ともまちまちだった。
複数の米地銀が不正の疑いがある融資に関して、多額の焼却処理を行ったと報じられた。金融引き締め後の金融緩和局面は、「景気が過熱したので利下げを行う」が利下げは景気が減速している時に行われるのが通例であり、景気が減速・悪化する局面では業績が悪化した企業や個人が不正を行う確率が上がる。
そのため、ビハインドザカーブにならないように前倒し利下げを、というバイアスが米政権からFRBに掛かっていたが、業況悪化に繋がる材料は金利高だけではなく、やはり米政権の関税政策も影響しているとみられる。
今のところ関税の影響は恒久的に米消費者の負担となり、景気にマイナスに作用する可能性が高い。関「税」であり、効果とすれば消費税と同じだ。ただし5%程度の穏やかなものではなく、いきなり平均20%程度の消費税が課されたようなものであり、持続的なインフレになっていないのであれば、利下げは妥当だろう。
そうでなくてもトランプ政権が誕生する前から、金融正常化の過程でパウエルFRBは利下げを継続していたが、関税の影響が不透明だったためこれを回避していただけであり、利下げ再開は妥当と言える。
雇用関連統計の発表はないが、民間統計のIndeed求人指数は低下基調であり、発表されているマインド関連(景況感指数など)も減速しているものが多く、物価上昇懸念を反映した内容になっている。
一方、景気の遅行指標である個人消費は堅調であり、米産業活動の指標の1つと弊社が位置づけている米ディスティレートの出荷が急速に回復、産業活動が底堅い事を示唆している。そのため昨日のFRBウォラー理事の発言のように、利下げに慎重になるのは頷ける所だ。
いずれにせよ、米政権の政策により米経済が混乱、経済統計の発表もない中で金融政策を決定しなければならないのは、バックミラーが無い車を運転しているようなものだ。
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