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米中貿易戦争再燃報道でリスク資産急落
  • MRA商品市場レポート

2025年10月13日 第3078号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中貿易戦争再燃報道でリスク資産急落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は大幅に下落した。中国が米国のみならず世界的にレアアースを中心とした製品や技術の輸出制限を11月から始めるとの報道を受け、トランプ大統領が中国に100%の関税を課すとしたことで、市場参加者のリスク回避姿勢が強まり、広くリスク資産が売られる流れとなった。

このコラムでも指摘したが、今の商品市場は株価動向を受けての変動が大きいため、株価次第で下落するリスクはあるとしたがそれが顕在化した形(参考 昨日のコメント「米政権が更に荒唐無稽な政策を強要したり、既に落ち着いたとみられる関税に関して「輸入価格が上昇していない。米国産業の保護にならないので関税を2倍に上げる」といったことをすれば話は別だ)。そもそも、トランプ大統領は来年の中間選挙を控えて、個別業種に対する人気取りの政策を進めていた。特に米農家、大豆農家への過剰な配慮は過剰で、米バイオ燃料への規制強化や中国に「大豆を買え」と強要するなど、バランスを欠く。

仮に大豆の混合義務量が増加し、中国向けの輸出が増加した場合、今度はトウモロコシが不足することになるし、この状態で異常気象が発生すれば大きなリスクが米生産者を襲うことになる。このように合成の誤謬になっているケースには枚挙に暇がない。

ただ、今回の中国の決定はトランプ的な思いつきベースのものではなく、かなり前から周到に準備をしていたと考えられる。そもそも対中制裁強化は前トランプ政権のときに始まったがこれもトランプ大統領の思いつきというよりも、覇権を取る意思がかなり強固な中国に対して、米国としても対応しなければならないという世論が形成されたことによる。

そしてバイデン政権時にコロナショックを契機に中国への不満が高まって加速、トランプ2次政権で加速したため、今回のレアアース関連の輸出規制に繋がったとみるのが妥当だろう。10年越しの政策とも言える。

ただ、中国が公に「サプライチェーンを武器」にすることを発言したのは、2020年4月の中国中央財政委員会第7次会議で「国際サプライチェーンの我が国編お依存を強化し、外国が供給を人工的に中断するのを抑止・対抗する強力な力を形成せよ」と習近平が発言している。

「外国の圧力に屈しないように」としているが言葉を換えると「外国を攻撃する際の武器にせよ」という指示と取れる。少なくともこの準備には5年をかけていると言える。

ただ、両国ともビジネス上でまだ繋がりが強いため、ここで完全にケンカ別れという訳にはいかない。その意味でAPECの米中首脳会議のスケジュールの後からの発動になっていると考えられる。


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