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株価動向を受けて上昇後下落 銀は高騰
  • MRA商品市場レポート

2025年10月10日 第3077号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「株価動向を受けて上昇後下落 銀は高騰」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、貴金属や原油などが前日比マイナスとなったが、貴金属セクターの中では銀が高騰、LME非鉄金属は前日比大幅なプラスで引けた。このコラムでも繰り返し指摘しているが、現在の商品市場はほぼ株価動向に左右されており、昨日の主要商品の値動きはほぼ分単位で株価に連動していた。

銀行などを除けば、資金運用ポートフォリオの主役は恐らくほとんどの市場参加者が株であり、そしてその株の大半が米国株である。時価総額のシェアで見た場合、米国は約49%、中国が13%、日本が5%程度。

更に、米国株に占めるGAFAMのシェアは20%、ナスダックが40%程度である。つまり現在の株価に対して最も影響が大きいのがGAFAMであり、これらの企業の決算動向、それを受けた株価動向が、銅や原油、金などの価格を左右しているといっても言い過ぎではない。

実際、非鉄金属の現物に関しては、銅や錫、亜鉛などは供給面の問題で需給が実際にタイトである。銀はリースレートが40%に迫り、足元急速に現物が不足している。恐らく普通にスクイーズ(玉締め)が起きているとみられる(50ドルを超えた銀価格に関しては、本日のMRA's Eyeをご参照下さい)しかし、その他の金属や原油はそこまで供給がタイトな訳ではない。

言葉を換えると、「GAFAMの株に売りが出ると」多くの商品に下押し圧力が掛かることになる。しかし、足元のニュースや決算見通し、M&Aの動向を見るとむしろ「祭り」状態であり、すぐに商品価格が下落するような感じではない。

仮に下落があるとするとQ325の決算が発表されて、市場予想どおり関税などの影響が幅広く業績に悪影響をおよぼしていることが確認されたり、調子に乗った米政権が更に荒唐無稽な政策を強要したり、既に落ち着いたとみられる関税に関して「輸入価格が上昇していない。米国産業の保護にならないので関税を2倍に上げる」といったことをすれば話は別だ。

また、高金利継続に伴う個人消費への影響、ローン延滞の増加や自己破産などによって証券化市場に影響が出る場合なども想定されるが、このあたりの信用リスクはトランプ政権前からFRBや米財務省が警告を発している部分であるため、影響は限定されるというのが今のメインシナリオではある。


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