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米個人消費・所得改善・物価安定 株価上昇で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年9月29日 第3068号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米個人消費・所得改善・物価安定 株価上昇で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品などの景気に連動し難い商品と非鉄金属が売られたが、その他は水準を切り上げる商品が目立った。

注目の米個人消費・所得が想定よりも強い内容になる一方、PCE価格指数が予想の範囲内に収まったため、利下げは想定通り行われるとの見方から株が上昇、利下げが実施されるとの見方がドルを押し下げたことが価格を押し上げた。

米個人所得は前月比+0.4%(市場予想+0.3%、前月+0.4%)とやや市場予想を上回り、個人支出は+0.6%(+0.5%、+0.5%)と伸びが加速した。

一方、PCE価格指数は前月比+0.3%(+0.3%、+0.2%)、前年比+2.7%(+2.7%、+2.6%)、コア指数は前月比+0.2%(+0.2%、+0.3%)、前年比+2.9%(+2.9%、+2.9%)と高い水準ながら市場予想の範囲内だった。

結局、関税が引き上げられたものの個人消費にはそこまで影響が出ていないことになり、直ちに利下げを過度に繰り返す必要が無いことを示唆している。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、現在の状況に関し失業率とインフレがFRBの目標から離れているものの、双方がさらに悪化するリスクは限定的としている。

しかし、そもそも個人所得や支出は景気の遅行指標であり、過去の政策の影響が顕在かしているといえ、米政権の政策が顕在化するのはこれからというのが一般的な見方だろう。

実際、ハード統計では無いアンケートベースのソフト統計は、企業のマインドが先々鈍化し、景気が減速する可能性を示唆している。実際、昨日発表のカンザスシティ連銀サービス業活動は▲9(前月4)と悪化している。

また、米国民が貯蓄を取り崩しながら消費を続けていることも確認されており、昨日発表の貯蓄率は4.6%(前月4.8%)と今年最低の水準まで落ち込んでいる。

また、影響は限定されたが自動車サブプライムローンを組成している企業が破綻するなど、高金利に耐えられない消費者が出始めていることも事実であり、「金融正常化のための利下げ」はやはり必要ではないか。

しかし、足元のインフレ定着は、ドットコムバブル以降、グリーンスパン元FRB議長が採用した「量的緩和で危機を乗り切る」手法の影響で通貨供給量が増加していることによって発生していると考えられ、現在、歴史的な水準まで膨張したFRBのバランスシートの縮小は、インフレ抑制のために必要といえる。

後段で説明するが、株価の上昇が原油や貴金属、非鉄金属を含む価格を押し上げる一因となっていることも事実であり、結果的に米金融政策動向を引き続き注視せざるを得ない。


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