ドル高継続・週末控えて軟調 貴金属は地政学で高い
- MRA商品市場レポート
2025年9月22日 第3063号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ドル高継続・週末控えて軟調 貴金属は地政学で高い」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は貴金属セクターと農畜産品セクターが堅調な推移となったが、その他の商品は水準を切り下げた。目立った経済統計の発表がない中、ドル高が進行したことが価格を押し下げる形となった。
昨日は経済統計というよりは、政治的なイベントリスクが多数材料に上った。まず、日銀金融政策決定会合であるが、予想通り金利は据え置きとなったが、高田委員と田村委員は利上げを主張し、金利据え置きに反対した。
また、ETFを簿価ベースで年間3,300億円売却する、と発言したことで株に売りが加速。異常な金融緩和政策が見直されるとの見方が円高を誘発した。
しかし、3,300億円の売却ペースではポジション解消に100年以上かかることから「実質何も変わらない」として円は売り戻される流れとなった。また、現在自民党の総裁選でアベノミクスを再び主張する高市候補が有利との報道もあり、政治的な配慮から利上げは見送られる、との見方が強まったことも円安をサポートしたようだ。
アベクロダノミクスが始まった時、実際に出口に向かうまでに100年以上掛かると揶揄されていたが、本当に100年以上掛かることが明らかになった。出口を考えず、インフレにもならないという前提で、円安を助長する政策を継続して来た時代の負の遺産を解消することが非常に困難であることを示唆する日銀総裁会見だった。
なお、高市候補は金融政策には触れなかった。恐らく、ここでかつて発言していたような金利引き上げ阻止発言をすると、円安が加速することが分かっているからだろう。古今東西政治家は、デフレ以上にインフレを警戒(といっても既にインフレになってしまっている)する傾向が強い。
自民党の総裁選は少なからず、国内経済に影響を及ぼすうえ、周辺諸国との地政学的な問題の顕在化も誘発する可能性がある為、一政党の内部抗争で済む話ではない。
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