想定外に強い米統計でドル高・下落
- MRA商品市場レポート
2025年9月19日 第3062号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「想定外に強い米統計でドル高・下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は発電燃料の一角と畜産セクターの一角が上昇したが、その他の商品は軒並み水準を切り下げるものが目立った。注目されていた米週間新規失業保険申請件数が予想外に先週から大きく減少したことや、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が想定を遙かに上回る改善となったことで、金利高・ドル高になったことが背景。
足元、雇用環境の悪化を理由にFRBは利下げ再開に踏み切っているが、このように雇用関連統計に強さがみられると10月の利下げも微妙になってくる。
ただし、この前のFOMCでもパウエル議長は「雇用統計の修正は、もはや堅調ではない労働市場を意味している」と発言しているためこれを覆すほどの材料とは言えない。結果、「どうせ先々修正されるだろう」との見込みの中で発表される米雇用統計に注目せざるを得なくなる、というのが現状だろう。
フィラデルフィア連銀製造業景況指数を少し細かくみると、仕入れ価格(66.8→46.8)は低下も高い水準を維持しているが、販売価格は18.8(前月36.1)と低下しており、仕入れ価格の上昇分を最終価格に転嫁できていないことを示唆している。
結局、トランプ政権の政策の影響が出始めているものの、先日の米小売売上高をみるに最終消費ヘの影響はまだ限定されていると考えられる。
なお、原油を増産してガソリン価格を下げ、国民からの支持を得るとしたトランプ政権の政策であるが、可処分所得に占めるエネルギー消費比率を考えると、更に価格が下がって消費に恩恵が出るレベルの価格ではなくなっている。
もちろん消費者からすればガソリンの価格が下がるに越したことは無いため、原油価格の下落を促す戦略は選挙対策としては是とされる他、ロシアに対する圧力となり得る。
しかしそれは諸刃の剣で、米国内の原油生産者は更に生産を絞ることになるため、結局、原油価格を下支えする要因にもなり得る。
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