ドル安・米消費堅調の良いとこ取りで商品価格総じて堅調
- MRA商品市場レポート
2025年9月17日 第3060号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ドル安・米消費堅調の良いとこ取りで商品価格総じて堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品が調整したがその他の商品は軒並み水準を切り上げた。注目の米小売売上高が市場予想を上回る良好な内容だったが、それでもFOMCでは市場予想通り利下げが行われる見込みであり、ドル安進行と需給ファンダメンタルズタイト化観測が価格を押し上げた。
昨日発表の米小売売上高は、前月比+0.6%(市場予想+0.2%、前月+0.6%)と市場予想を大きく上回る伸びとなった。除く自動車・ガソリンでは+0.7%(+0.4%、+0.3%)と大幅な伸びとなっている。
一方、同時に発表されたニューヨーク連銀サービス業景況指数は▲19.4(▲5.8、▲11.7)と、前日に発表された製造業指数と同様、市場予想を大幅に下回る結果となり、「企業が関税分を負担して最終価格に転嫁しない」状態になっていることが浮き彫りとなった。
なお、上昇が続いていた株価はFOMCを控えてさすがに利益確定売りの圧力が強まり、水準を切り下げているが速度調整の下落であり違和感はない。むしろ、対米GDP比で1.94倍(Q225の米名目GDP年率が今も変わらないとした場合の倍率)となっており、これはコロナショック後の1.7倍を遙かに上回っている。
データ取得が可能な2000年以降でみると、米名目GDPはほぼ一貫して上昇しているが、リーマンショック前はGDP成長以上に株価が上昇することがなく、対GDPレシオも切り下がっていた。しかし、リーマンショック以降は概ね水準を切り上げている。
同レシオと米10年金利を比較すると、株価上昇に金利低下が寄与していることが比較的明確に分かる。直近でこのレシオが低下したのは2022年のロシア軍事侵攻と同じタイミングで行われた米金融引き締め時の金利上昇局面の時だが、金利上昇が一服したタイミングで株の時価総額の対GDP比が上昇を始めている。
結局、リーマンショックとコロナショック時の過剰流動性供給が株価を支え、金利動向が価格の方向性に影響を与えているといえる。
1株辺り利益はS&P500で66.94となっており(BBGによる集計)株高が肯定されてもおかしくないが、PERもS&P500で25倍と買われ過ぎの目安である20倍を超えているため、早晩調整があっても不思議はない。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について