ドル上昇で軟調 中東有事懸念で原油は高い
- MRA商品市場レポート
2025年9月10日 第3055号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ドル上昇で軟調 中東有事懸念で原油は高い」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーと貴金属セクターが堅調(発電燃料は下げ渋り)、その他農産品などが上昇したがその他は水準を切り下げるものが目立った。
イスラエルが停戦交渉の検討のためにカタールに集結しているハマスに対して攻撃を行い、幹部を含む5名が死亡したと伝えられたことで、中東有事が意識されたことが原油価格を押し上げた。
一方、米利下げを織り込んでいたが、スピード調整で金利が上昇したことがドル高を誘発、有事のドル買いと相まってドルが上昇したことで取引後半に掛けて上げ幅を削る動きとなった。
今回の一連の米国の戦略は中国からサプライチェーン覇権を取り戻し、中国包囲網を敷くことがそもそもの目的だったはずだが、トランプ氏はむしろ中国に対して融和的な態度に徐々に変化しており、ロシアに対しても圧力を掛けると言っているが、実際は何も出来ていない。
やれていることは米国の同盟国に対して高い関税を課したり、お金を無心して米国に投資をさせるなど、与しやすい所からお金を取っていることだけである。ただ、恐らくこのままだと来年の中間選挙でトランプ陣営が勝てる可能性は低下する。
というのも、恐らく今回の政策が米国で製造業の雇用を爆発的に生むものではないこと、そもそもトランプ陣営に投票したのは、インフレや移民問題などであり、特に前者については今後、関税分の最終消費者への転嫁が進むことから結局不満が高まる可能性があるためだ。
また、トランプ大統領が進めていた宇露停戦、中東和平は別に米国民が望んでいるものではない。もちろん、これらの国に対する軍事的な援助(武器の供与)は最終的には米国の負担になり、国民に跳ね返るが米兵が戦地に送られている訳ではないため、そこまでアピールになり難い。
ノーベル平和賞が欲しいのは、大統領退任後の訴訟回避や、MAGA陣営ヘのアピールが目的と考えられるが、全く期待通りの結果になっていない。プーチン大統領、ネタニヤフ首相とも、完全に米国の足元を見ているといえる。つまり、停戦は当分難しいと言わざるを得ない。
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