- MRA商品市場レポート
2025年9月8日 第3053号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米雇用統計を受けて貴金属以外は軒並み下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は貴金属やその他農産品、債券などが上昇したが景気循環系商品は軒並み水準を切下げる動きとなった。
注目の米雇用統計は非農業部門雇用者数の増加が前月比+2.2万人(市場予想+7.5万人、前月+7.9万人)と前月、市場予想共に大幅に下回った。内訳を見ると前月から減少が多かったのが、専門・事業サービス(▲1.7万人)、政府部門(▲1.6万人)、製造業(▲1.2万人)、卸売業(▲1.2万人)となっており、増加は教育・ヘルスサービスの+4.6万人、宿泊・娯楽の+2.8万人だった。
結局、関税を含むトランプ政権の政策の影響が、雇用市場に現れ始めているといえる。つまり、関税引き上げで調達コストが上昇している業種は、やはり人件費の削減に動いているとみられ、同時に不法移民の強制送還で人手が足りなくなった業種は一定の雇用を維持している、という状況と考えられる。
また、フルタイム・パートタイムの比率も、パートタイムの雇用者が増加しており、企業が人件費の削減に動いていることを示唆している。
こうした環境に加えて、恐らく人材のミスマッチが発生していると考えられることも、失業率の上昇(4.2%→4.3%)に繋がっていると考えられる。
また、今回ではなく過去の統計に関しては2ヶ月分の修正が入るが、6月の雇用者の増加が、速報の+14.7万人から改定値で+1.4万人に下方修正され、確定値で▲1.3万人に修正された。雇用統計は速報性を重視するため、アンケートの回収遅れや統計処理の問題などでこのような修正は多く行われるが、「データ重視」の姿勢であるFRBからすれば「勘弁してくれ」というのが正直な所だろう。
擁護するつもりはないが、長官を更迭したい気持ちにもなる。ただ更迭ではなく、統計の誤差を少なくするため、関税で税収が増えたならばそちらにコストを掛けて改善を図るべきだろう。
この統計も修正される可能性があるが、現時点で取得された過去の実績(確定)をみるに、物価上昇の懸念は残るものの、労働市場の安定というFRBの2大責務の1つを果たすため、規定路線通り米国の9月▲25bp利下げは行われると考えられる。
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