米統計減速もドル高進行で総じて下落
- MRA商品市場レポート
2025年9月5日 第3052号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米統計減速もドル高進行で総じて下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は木材や畜産、コーヒーなどの一部の商品が上昇したがその他は軒並み水準を切り下げる流れとなった。
米国で発表された統計が米国の労働市場が減速していることを示唆することを示す内容で、総じて景気の減速感が強まる中で景気循環系商品の需要が減少するとの見方が強まったこと、ドルにはむしろ売り材料の方が多く、金利も低下していたがドル高が進行したことが、ドル建て資産価格の下押し要因となった。
世界景気動向はどうしても米国の経済動向に左右されるが、米経済は後退局面には入っていないものの、不法移民の強制送還などの影響で労働市場はタイトな状態だったが、直近のJOLTS求人統計や昨日の米週間新規失業保険申請件数をみるに、労働市場全体が縮小している可能性が高まっている。
昨日のこのコラムでも説明したが、米国の場合、求人失業レシオが1.0を切ると、失業率が急速に上昇する可能性が高まる。この状態であればFRBの2大責務である労働市場の安定を担保できなくなるため、金融緩和に踏み切るのは自然だ。恐らく9月は市場予想通り▲25bpの利下げが行われることになるだろう。
しかし、労働市場が縮小しているにも関わらずまだタイトであり、サービス価格は関税の影響も相まって上昇をしていることを考えると、ここで定石通り利下げを続けた場合、景気減速下での物価上昇を誘発しかねないため、データ重視の姿勢をFRBが維持するのは理解できる。
しかし、トランプ政権によって進められた政府職員の解雇などで作業人員が不足し、統計の信憑性が更に低下していることは、市場参加者の判断をより困難にするばかりでなく、FOMCメンバーの判断を困難にすることが想定される。
結果、過去と同じように、いや、トランプ大統領が連日揶揄している様に「ビハインドザカーブ」となるリスクは高まっていると考えるべきかもしれない。
ただ、このような状態になっている背景に、トランプ政権の不連続な状況の強制変更が作用していることは紛れもない事実である。
商品市場動向の整理は以下の通り。
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