米求人減少を受けたドル安が支え 原油はOPEC増産観測で下落
- MRA商品市場レポート
2025年9月4日 第3051号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米求人減少を受けたドル安が支え 原油はOPEC増産観測で下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は貴金属やその他農産品、各国債券などが上昇したが、エネルギーは総じて水準を切り下げる流れとなった。
注目の米JOLTS求人が市場予想を下回る悪化となり、米国の雇用市場の緩和観測が強まったことから、利下げ観測が強まる一方、最大消費国である米国の需給ファンダメンタルズが緩和するとの見方がエネルギー価格を押し下げる流れとなった。
ただ、原油価格の下落はアジア時間からの夕刻にOPECプラスが今週末の会合で、10月以降も増産を検討、との報道が切っ掛けとなっている。弊社は10月のOPECプラスは増産見送りとみていたが、足元の原油価格がドル安なども手伝ってジリ高であるため、方針を変えた可能性が排除できない状況に。
昨日のJOLTS求人は7,181千人(市場予想 7,380千人、前月 7,357千人)と市場予想、前月から減速が確認された。同時に発表された米求人率も4.3%(前月4.4%)と減速、米国の雇用市場が軟化していることを示唆するものである。
昨日はベージュブックの公表もあったが、米経済は総じて停滞しており、雇用環境に関しては1つの地区で緩やかな減少が確認されたがその他の地区は横這いだった。
以上を勘案すると9月の利下げの可能性は極めて高くなったが、トランプ大統領が要求するようなペースでの緩和が必要とは判断できない内容だった。ただ、求人率が低下し、4.2%程度を下回る雇用環境が急速になる転換点になると考えられているため、「景気減速下の中での利下げの失敗」が景気を腰折れさせるリスクとFRBは向き合わざるを得ない。
ベージュブックは同時に「関税引き上げによる物価上昇が確認されているが、投入価格の上昇が顕著だが、販売価格の上昇はそれほどではない」とし、今回の一連の関税引き上げの負担を、企業側が行っていることを浮き彫りにしている。
結局、今回の政策は今のところ単純に米政府の増税、という整理になるが、今後、仕入れコスト上昇分を最終価格に転嫁する動きが強まると予想され、消費も減速、原油は下落といった流れが想定される。
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