金は財政問題と地政学で上昇 原油は地政学で上昇
- MRA商品市場レポート
2025年9月3日 第3050号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「金は財政問題と地政学で上昇 原油は地政学で上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は貴金属やエネルギーセクターが続伸したが、非鉄金属やその他農産品は売られる流れとなった。
昨日は英国債が急落、長期債利回りが1998年以来の高水準に達したことが切っ掛けとなり、広く世界中の債券が売られ、長期金利が上昇した。米国ではトランプ関税が違法と高裁が判断、トランプ大統領はすぐさま最高裁に判断を持ち込むとしており、仮にここでも違法となれば、徴収した税の返還やそれに伴う財政悪化が意識されたことも、長期金利の上昇に繋がった。
この結果、「どこの国の国債も買えない」として消去法的に金が物色され、大幅な上昇となった。実の所先日、現在の環境(FRBの中立性が毀損される恐れ)で金が物色された場合、3,600ドル程度までの上昇はあると見ていたが、昨日先物ベースではあっさりこの水準を上抜けしてしまった(近日中に金価格の見通しについてはMRA's Eyeでアップデートの予定です)。
FRBの中立性に加えて各国の財政懸念、さらには地政学的リスクがこれに加わったことが金を含む貴金属価格を押し上げている。もはや市場では、宇露が停戦すると思っている人はほとんどいないだろう。
また、中東もイランの核開発を巡る問題の他に、イスラエルがガザの完全制圧を目論み、さらには報道ベースであるが「大イスラエル構想」までネタニヤフ首相自らが支持すると発言している。
この状態が続くのであれば、安全資産として金が買われてもなんら不思議はない。
また、宇露・中東の情勢がおかしくなれば、当然、原油価格への影響は無視できなくなる。更にここで、トランプ大統領の圧力に屈し、FRBが大幅な利下げを行う場合など、このままだと景気が減速する中で原油価格が高値を維持するいわゆるスタグフレーションのリスクも無視できなくなってきたと言える。
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