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ドル乱高下で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート

2025年8月28日 第3046号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル乱高下で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は液体系燃料とその他農産品、金が上昇したが、非鉄金属などは水準を切り下げた。新規手掛かり材料に乏しい中、仏政局の混迷(バイル首相の信任投票が9月8日に予定されている)などを材料にドル高が進行、その間はドル建て資産が広く売られる流れとなったが、FRBクック理事の解任を巡る米国の中央銀行への介入疑惑、米利下げ観測を背景とするドル安進行で引けに掛けては下げ幅を削る展開。

エネルギーに関しては昨晩の米石油統計で原油在庫が▲2.4MB(市場予想▲1.4MB、先週▲6.0MB)と市場予想を上回る減少となったことやガソリン・ディスティレートの出荷の回復を受けて、個人消費並びに産業活動が堅調であることが意識されたことも価格を押し上げた。

米国の原油・石油製品在庫の水準は低く、米景気の先行き見通し(減速見通し)よりも統計的な需給はタイトな状態が続いている。ただ、米EIAが発表している短期見通しでは原油・石油製品の需給バランスを供給過剰と判断しているが、足元、週次統計との整合性は余り取れていない。

昨日は米5年債入札が行われたが想定よりも需要が弱かったことで超長期ゾーンの金利が上昇を始めている。足元、トランプ政権の圧力もあり、FRBは利下げに舵を切る見通しだが、それに伴うインフレが意識され、金利のスティープニング圧力が強まっている。中長期の金利上昇は、兼ねてから言われている商業用不動産市場の混乱をもたらす恐れがあるため、しばらく忘れ去られていたが、リスクとして意識しておくべきである。

また、インドに対する50%関税が発動されることになったが、インド政府はロシア産原油の購入を継続する意向である。ただ、数字の上では2024年実績でインドの対米輸出はGDP対比で2.2%程度のシェアしかなく、GDPの押し下げは▲0.4%~▲0.5%程度に留まると考えられる。

また、米国経済への影響が大きい為、電子機器(26億ドル:2024年)、医薬品(13億ドル)は除外されているが、アパレルや宝飾などへの影響は避けられない。50%の関税をそのまま転嫁すれば販売に影響が出るため、価格転嫁は難しい。

実際、多くの国が今回の関税を最終消費者に転嫁することを躊躇っている状況であるため恐らくインドもそうなるだろう。


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