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ドル安・株高で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2025年8月29日 第3047号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安・株高で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は貴金属や非鉄金属、債券、株などが物色され、非景気循環銘柄であるその他農産品が売られた。制裁対象となっているプロジェクトからのロシア産LNG輸出報道を受けて、発電燃料も売られている。

昨日の最大の材料は、そこまで大きな修正があると思われなかったQ225米GDP改定値で、個人消費や設備投資、輸出などが大幅に上方修正され、関税問題の影響はあるものの米国の経済活動が底堅いとみられたことが、市場参加者の楽観と景気循環銘柄の物色に繋がったと考えられる。

米GDP改定は過去の統計の更に改定値であるが、大きく動いた場合に材料とされやすい(その意味では確定値でも反応は大きい)。GDP見通しは前期比年率+3.1%と速報の+3.0%から小幅な情報修正とみられていたが、+3.3%と比較的大きく上振れした。

個人消費は+1.6%(市場予想+1.6%、速報+1.4%)と市場予想通り上振れ、設備投資も+5.7%(速報比+3.8%)と大きく上方修正されている。各々、GDPヘのプラス寄与は+1.1%、+0.6%だ。また知的財産ヘの投資は前期比+12.8%(速報比+6.4%、GDP寄与度+0.7%)と大幅に上昇している。AI関連投資が旺盛であることを伺わせる内容。

なお、関税引き上げ前の駆け込みでQ125は輸入が増加し、純輸出のGDP寄与は▲4.6%だったが、在庫の増加のGDP寄与が+2.6%だったためこれを一部相殺していた。今回はこの反動で輸入が減少したため、純輸出のGDPヘの寄与は+5.0%と大きく、在庫投資は▲3.3%の大幅な減少となっている。

しかし、米関税の影響が顕在化するのはこれからであり、関税分の最終価格への転嫁が進む中で、低所得者層の消費活動に支障が出る可能性は高い。また、米雇用統計通り雇用市場が軟化すれば、より、購買力が低下すると考えられる。

一方、米週間新規失業保険申請件数は229千件(前週234千件)と小幅に減少。不法移民強制送還の中で特定の業種の求人が増加していることが、労働市場が緩和する中でもタイトな状態を作り出している。

その中で、昨日はPCEデフレーターは速報から変わらずであり、昨日の統計の改善を受けても恐らく9月の▲25bpの利下げを否定するような内容では無かったと言える。ただ、そのペースが、トランプ氏が望む物になるかは極めて疑問だ。


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