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ドル安進行で上昇 エネルギーは調整売りで下落
  • MRA商品市場レポート

2025年8月27日 第3045号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安進行で上昇 エネルギーは調整売りで下落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は非鉄金属や貴金属などの金属セクターの他、畜産品などが上昇した。米経済統計は強弱まちまちだったが、トランプ大統領によるFRBクック理事強制排除の動きが政権による中央銀行の独立性毀損と捉えられたことがドル安を誘発したこと、また、JH講演を受けて「FOMCでの利下げ観測」が確認されたがそれが材料として一巡、更にそれも一巡したとして株に買い戻しが入ったことが、リスク資産価格を支える形となった。

なお、トランプ氏の主張では、クック理事は詐欺を働いたことになっているがクック理事はこれを否定、法廷で争うとしており泥沼状態に。全て自分の思うとおりにならないと満足できない性格であることは分っているが、世界の基軸通貨を扱う国の中央銀行の中立性を毀損することは、米国にとって何のメリットもない。

もちろん、クック理事がトランプ氏のいう通り本当に詐欺であるなら、それは解任されても仕方が無いのだが。

思い通りにならないと言えば、本日から米国の対インド関税50%が発動される。ロシアから原油を買い支援しているからというのが理由ではある。これにより米国向けの主にモノの輸出に対して50%の関税が掛けられることになる。

インドの米国向けの輸出は輸出全体の20%程度に相当し、輸出について言えばかなり特定の業種(アパレル、宝飾品、革製品など)に影響が出てくる。なお、ジェネリック医薬品などは米国民への影響が小さくない(米国のジェネリック医薬品のインドからの調達比率は40%と高い)ため、今回は対象になっていないようだ。

ただし、米国向け輸出のGDPシェアは2%程度であり、仮に50%関税が掛けられても対GDP比では▲0.4%~▲0.5%程度の押し下げになると予想される。もちろん小さくないがそれ以上にロシア産原油を購入した方が安いという判断だろう。

もちろん、民間側はこれ以上の制裁があれば(例えば個別企業に対する制裁)厳しくなるため、エネルギーの輸入会社は個別に代替調達先(主に中東)を探していると考えられる。

現在、交渉は継続しているが、米国は中国に対してはインドよりも厳しい対応をしていない。恐らくレアアースなどの調達で中国に依存をしなければならないため、今後の習・トランプ会談に向けて圧力を掛けることを回避していると考えられる。

しかしこうした「なぜか親中より」の米政権の対応をインドが不満に考えQUADの枠組から外れた場合、米国が模索している対中政策が崩れることになるため、小さいリスクではない。


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