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利下げ折り込み過ぎの反動で金利高・ドル高で軟調
  • MRA商品市場レポート

2025年8月26日 第3044号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「利下げ折り込み過ぎの反動で金利高・ドル高で軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は液体系エネルギー価格が上昇したが、その他の商品は水準を切下げるものが目立った。ジャクソンホールのパウエル議長のスピーチはハト派だった、との解釈で前日は広くリスク資産が物色される動きとなったがそれが一巡、この数日、このコラムでも整理しているが、そもそもコア物価指数の上昇が続いているため、「1回は利下げをするだろうが、その後、持続的に利下げをするかどうか不透明」と判断されたことがドル高を誘発し、価格を押し下げる形となった。

現状、パウエル議長は利下げに舵を切っていることは間違いが無い。そもそもトランプ大統領が就任して今のような政策を採用しなければ、正常化の名目で利下げを行っている可能性は高かった訳で、今回、FRBのデュアルマンデートの1つである雇用市場が軟化の兆しを見せていることが金融緩和を再開することを決断させたようである。

しかし、特にサービス価格が上昇を始めており、やはりトランプ政権の不法移民の強制送還(不法なので送還されるのは仕方が無いと思うが)による、サービス業などの分野での労働力不足が顕在化しているとみられる。

Indeed社の求人指数を見ると減少傾向が継続していたが、足元、求人数が回復している。しかし、米政権の政策を考えると「全米・全業種に求人需要がある」というよりも、サービス業やいわゆるブルーカラーの労働者が不足していることに伴う求人増加と見られ、全体のトレンドを表している訳ではない。

関税による輸入コストの上昇分は、輸出元企業が多く負担していると考えられるが、同時に米国の業者も消費者向けの価格転嫁を始めたことが、物価上昇に繋がっていると考えられる。

この状況では恐らく時間経過と共に消費が減少して物価が低下する、と整理されてもおかしくはない。しかし、物価上昇を考えると、トランプ氏が望むレベルまでの利下げは難しいと考えるのが妥当だろう。

以上を考えると、今回のパウエル議長のジャクソンホールでの発言は、ハト派になったというよりも、データに基づき、今までと同じスタンスの中でハト派な整理が行われた、というのが適当だろうか。

しかし、トランプ氏は全く満足しておらず、先ほど、クック理事を解任した。FRB理事の解任は、犯罪などの相当の理由がない限り認められていないが、住宅購入などで不正があったとして解任に踏み切ったようだ。


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