JHでのパウエル議長ハト派発言で総じて上昇
- MRA商品市場レポート
2025年8月25日 第3043号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「JHでのパウエル議長ハト派発言で総じて上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は総じて水準を切り上げる商品が目立った。注目のFRBパウエル議長のジャクソンホールでのスピーチが、ハト派な内容だったことで金融緩和期待が強まり、ドル安・株高が市場参加者のリスク選好を回復させたことが材料。
ただし、エネルギーに関しては雇用環境の悪化をパウエル議長が指摘したため、需要の減速観測が価格上昇を抑制した。
昨日の「本日の見通し」で、パウエル議長の発言は慎重なものになり、リスク資産価格の売り材料になるのではとみていたがそうならず、特に株式市場参加者の期待通りハト派な内容となった。
結局の所、FRBのデュアルマンデートである雇用と物価の安定に関して、「雇用の方が急速に悪化しているが、労働力の供給が米政権の政策によって制限されているため、労働市場規模が縮小する中でも均衡している」という解釈で、物価上昇も関税の影響であることから、極論すると前年比では1年後に沈静化すると考えられる上、雇用環境が悪化しているならいずれ価格は下がるだろう、という整理だろうか。
昨日もこのコラムで整理したが、米総合CPIは前年比+2.7%(市場予想+2.8%、前月+2.7%)、より重要なコアCPIは+3.1%(+3.0%、+2.9%)と伸びが加速。主に、サービス価格の上昇が影響しているため関税の影響というよりは、やはり移民の強制送還に伴い、パウエル議長の言葉を借りれば「労働市場の奇妙な均衡状態」が影響しているとみられる。
総合PPIは前年比+1.9%(前月+1.9%)と横這い、項目別では財の価格が+1.9%(+1.7%)だが、コアPPIは+3.7%(+2.6%)と加速している。
フィラデルフィア連銀指数でも、仕入れ価格指数は66.8(58.8)、販売価格指数も36.1(34.8)と上昇、6ヵ月先も高い水準を維持するとの見通し。
一方で、雇用環境は雇用統計でも低迷が確認されたが、週間新規失業保険申請件数は235千件(市場予想 225千件、前週 224千件)と増加、失業保険継続受給者数も1,972千人(1,960千人、1,942千人)と増加している。フィラデルフィア連銀指数でも雇用指数は5.9(前月10.3)、6ヵ月先が12.7(20.1)と悪化の見込み。
データ重視の姿勢は崩していないが、「解釈の仕方が調整された」とするのが妥当だろうか。金融政策はあくまでファクトに基づくべきである(ベッセント財務長官はデータ重視のスタンスを批判しているが)。
しかし、データ重視の結果、来月初に発表されるこれも問題が多いと指摘されている雇用統計に注目せざるを得ないため、市場は今回の発言を楽観的に捉えながらも、神経質な推移となろう。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について