強めの米PMIを受けて金利上昇・株安・ドル高で軟調 エネルギーは堅調
- MRA商品市場レポート
2025年8月22日 第3042号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「強めの米PMIを受けて金利上昇・株安・ドル高で軟調 エネルギーは堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギー価格が上昇、非鉄金属は銅・アルミのみ上昇したが、その他は総じて軟調な推移となった。
昨日発表されたフォワードルッキングな指標である各国のPMIが想定よりも強い内容となり、世界経済が回復基調にあるとみられると同時に、これまでほぼ100%行われると思われていた米国の利下げが微妙になったことを受けて金利が上昇、ドル高が進行したことが広く価格を押し下げた。
一方で、各国の経済活動が改善するのであればエネルギー需要は増加するとして、昨日はドル高の中でも広くエネルギーが物色される動きとなった。
昨日発表された統計は、米国経済が減速しているもののインフレの懸念が払拭仕切れていないことを示唆するものが多く、FRBのデュアルマンデート両方とも満たしていないとして、再びFRBの利下げ見通しが微妙になったと市場で意識された。
1週間ほど前までは9月▲25bpの利下げは確実で、▲50bpもあるか、と特に株式市場では期待されていたが、昨日の統計やCPI・PPIなどの一連の統計を見直してみるに、少なくとも利下げ継続を約束するような内容では無かった。
少し時系列で米物価指数を見てみると、12日に発表された米CPIは、総合指数が前年比+2.7%(市場予想+2.8%、前月+2.7%)と市場予想は下回ったが前月と変わらなかったが、コアCPIは+3.1%(+3.0%、+2.9%)と伸びが加速している。
この時市場はヘッドラインの数字を見て「物価は低下して沈静化している」と反応していたが、コアCPIのうちサービス業(除く家賃)は前年比+4.0%(+3.8%)と伸びが加速、住宅除くサービスのスーパーコアは+3.2%(+3.0%)と上昇しており、サービス価格のインフレは沈静化どころか加速している。
またPPIも総合指数は前年比+1.9%(前月+1.9%)と伸びは横這いだが、コアPPIは+3.7%(+2.6%)と伸びが加速している。一方財の価格は+1.9%(+1.7%)とやや落ち着いていたが、インフレ懸念は拭えない。
また、昨日のフィラデルフィア連銀指数でも、仕入れ価格指数は66.8(58.8)と上昇、販売価格指数は価格転嫁が消費を阻害するとみられて十分転嫁されていないが、それでも36.1(34.8)と上昇している。
6ヵ月先は仕入れ価格が68.4(75.3)と減速、販売価格も48.5(59.4)と低下を見込んでいるがそれでも水準は高い。
加えて昨日の米週間新規失業保険申請件数は235千件(市場予想 225千件、前週 224千件)と増加、失業保険継続受給者数も1,972千人(1,960千人、1,942千人)と増加している。フィラデルフィア連銀指数でも雇用指数は5.9(前月10.3)、6ヵ月先が12.7(20.1)と悪化の見込みである。
以上を整理するとスタグフレーションとなる恐れが出てくる。
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