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ドル安で堅調 様子見続く
  • MRA商品市場レポート

2025年8月21日 第3041号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安で堅調 様子見続く」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて水準を切り上げる商品が目立った。昨日は米長期金利が低下したことでドル安が進行、パウエル議長の発言を控えて様子見気分が強いものの、ドル安進行が価格を支えた。

現在、関税交渉問題が一巡、宇露停戦協議も急速に進行する可能性が高くない中、米金融政策動向に市場の注目が集まっている状況。9月▲25bpの利下げはほぼ確実とみられているが、市場はその幅が▲25bpなのか▲50bpなのか、年内利下げが▲50bpなのか▲75bpなのか、その手掛かりをパウエル議長の発言に求めようとしている。

結果論だが関税の影響はまだ顕在化していない。このコラムで何回か整理検討してみたが、囚人のジレンマのゲーム理論で考えると、直ちに関税引き上げ分が最終価格に転嫁されるような状況ではなく、時間を掛けて価格転嫁が行われていく可能性が高そうだ。

つまり、関税の影響が顕在化するまで待っていると、FRBのデュアルマンデーとの1つである雇用市場の環境が悪化する可能性があるため、利下げは粛々と行った方が良い、という意見が出てきても不思議ではない。

とはいえ、前倒しの予防的な利下げがインフレを生む可能性も排除できない状況にあることもまた事実であり、そう考えると年内▲75bpの利下げはやり過ぎで、▲25bpの利下げを様子を見ながら行う、というのがメインシナリオだろう。

仮に来年景気が減速したとしても、トランプ政権は「最終価格に転嫁されないために発生している関税による税収増を分配することも検討している」と発言している。

中間選挙を睨んだバラマキ政策であるが、これが消費を喚起してインフレを助長する可能性もある。基本、どの国も同じであるが、まず、選挙の年に景気が良く選挙に勝てればそれで良いと考える為政者は多い。

そしてこのまま景気が底入れして来年は分配金が支払われるならば、中間選挙は共和党が勝利、次期大統領選挙も共和党が勝利する可能性は高いことになる。

こうした政策動向が商品価格に及ぼす影響を考えると、関税問題は米国の景気減速に「今のところ」強く影響を及ぼしていないため、緩やかな景気の減速と底入れで年末にかけて下落したのち、上昇に転じるというのが最もありそうなシナリオだろう。


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