景気循環系商品売られるも農産品・畜産品は上昇
- MRA商品市場レポート
2025年8月18日 第3038号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「景気循環系商品売られるも農産品・畜産品は上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品や畜産、穀物が上昇したが、その他の商品は総じて水準を切り下げる流れとなった。商品価格全体に影響を及ぼしやすいドル指数は、昨日の米統計を受けても9月の利下げに変化はないとして水準を切り下げたため、総じてドル建て資産価格の押し上げ要因となった。ただし、米統計の弱さ、中国重要統計の減速を受けて景気循環系商品が軟調な推移となった。
昨日発表された米国の消費関連統計は総じて弱かった。小売売上高は前月比+0.5%(市場予想+0.6%、前月+0.9%)、除く自動車が+0.3%(+0.3%、+0.8%)、除く自動車・ガソリンが+0.2%(+0.3%、+0.8%)と市場予想・前月を下回った。
統計サンプル数の少なさの割には市場が反応しやすいミシガン大学指数は58.6(62.0、61.7)、現在景況感が60.9(67.5、68.0)、期待景況感が57.2(58.4、57.7)と市場予想・前月を下回った。
しかし、1年期待インフレ率は4.9%(4.4%、4.5%)と上昇、5-10年期待インフレ率は3.9%(3.4%、3.4%)と上昇している。輸入物価指数も前月比+0.4%(+0.1%、▲0.1%)と上昇している。関税政策の顕在化と今後その影響が拡大するとみる市民は多いものと思われる。
先日のPPIと合わせて考えると、米金融当局が金融緩和を積極的に実施することを躊躇う気持ちは良く分かる内容。
現時点においては企業業績は悪くなく、生産性の改善(AIなどの普及)によりこれを吸収している可能性が否定できない。しかし、決算発表が注視されるブルーチップ企業はそのコスト上昇分を仕入れ先に転嫁している可能性はあり(力関係の問題は無視できない)、実態はまだなんとも言えず、関税引き上げの影響が実際に顕在化するのはまだ先になるだろう。
とはいえ前回、前々回のMRA's Eyeで紹介した「トランプ関税と囚人のジレンマ」で考察したように、関税分を最終価格に転嫁するには時間が掛かると予想される。結果、見かけ上は、「関税分は海外企業が負担し、米消費者は負担が増加せず、米国の財政状況が改善した」という結果に今のところなっている。
そのしわ寄せは米国外の企業が負担している訳で、業績の下振れ要因となるだろう。最終価格への転嫁が無ければ、結局米国に関税分を収奪されたことになる。
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