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液体エネルギー・その他農産品は上昇、その他は総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2025年8月15日 第3037号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「液体エネルギー・その他農産品は上昇、その他は総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品や液体系エネルギー価格が上昇、その他は総じて水準を切り下げた。注目の米PPIが市場予想を大幅に上回る水準となり、トランプ関税の影響が企業活動に影響を及ぼし、仕入れ価格の上昇を転嫁する動きが出始めたことを示唆している。

米生産者物価指数は前月比+0.9%(市場予想+0.2%、前月±0.0%)、前年比+3.3%(+2.5%、+2.4%)、コアPPIが前月比+0.9%(+0.2%、±0.0%)、前年比+3.7%(+3.0%、+2.6%)と市場予想、前月共に大幅に上回った。

項目別では食品が前月比+1.6%(前月+0.1%)、個別商品では生鮮・乾燥野菜が前月比+38.9%(前月▲1.7%、季節調整前前月比)、家庭用電子機器が+5.0%(前月+0.8%)と上昇している。恐らく関税の影響を強く受けたとみられる。エネルギーが+0.9%(+0.9%)と上昇率は前月と変わらず。最終サービスは+1.1%(▲0.1%)と伸びが加速した。

これまでの物価上昇はサービス価格の上昇の影響が大きかったが、これに関税の影響が加わった形。求人が減速しているものの不法移民の強制送還で労働力が不足しており、賃金上昇がサービス価格を押し上げる、という構図がしばらく続くと見られる。

こうなると再び年末に向けての利下げペースが難しくなる。FedWatchベースでは9月の利下げ確率は92.1%(前日94.3%)と小幅に低下したが、FFレートベースでは利下げの可能性はほぼ確実。

10月に連続利下げとなり10月段階で▲50bpの利下げの確率は55.2%(64.4%)とやや低下した。今後はライブで統計を見ながら判断、ということになるが物議を醸した雇用統計に代表されるように、統計のぶれが意識されるため判断が難しい。

ざっくり整理すると

物価上昇 労働市場タイト化 → 利下げ見送り

物価上昇 労働市場緩和 → 労働市場の緩和度合いにより様子をみて利下げ

物価低下 労働市場タイト化 → 労働市場の緩和度合いにより様子を見て利下げ

物価低下 労働市場緩和 → 大幅利下げ

となるが、恐らく今は「物価上昇・労働市場緩和」のステージにあるとみられる。しかし難しいのは昨晩発表された米週間新規失業保険申請件数は先週からやや増加はしたものの減少基調を継続、失業保険継続受給者数も高止まりしている点である。

雇用統計の修正版を是とするならば、雇用環境は悪化しているが週次の統計ではそこまで雇用環境が悪化している感じは出ていない。


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