液体エネルギー・非鉄金属は下落
- MRA商品市場レポート
2025年8月14日 第3036号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「液体エネルギー・非鉄金属は下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品や穀物、貴金属セクター、発電燃料などが幅広く買われたが、液体系燃料、非鉄金属価格は水準を切り下げる動きとなった。
ベッセント財務長官がFRBは▲150bp-▲175bpの利下げをするべきと主張、確かに労働市場にパウエル議長も焦点を移していたため今回の雇用統計の修正を受けてその素地が整っているとみられている中での発言であるため、米利下げ期待がドル安・金利安を誘発、株が上昇したことがリスク資産価格を押し上げた。
一方、関税の動きで労働市場が鈍化するならばエネルギー消費も減少することになるため、エネルギー価格は下落している。昨日のIEA月報でも来年はOPECプラスの増産もあって世界の需給が緩和するとしている。
また、非鉄金属に関しては中国の人民元建て新規融資が2005年7月以来のマイナスになったことを受け、同国の経済活動が鈍化するとの観測が強まったことが価格を下押しした。
以上を俯瞰すると、やはりトランプ関税や移民の強制排除などの影響が徐々に顕在化し始めているといえ、年後半にかけての景気が減速する可能性は高い。しかし、ここに来てリセッションを主張する声はほとんど聞かれなくなった。
今回のトランプ政権の政策はかなり無茶なものが多いが、バイデン-パウエル時代の「貯金」があって、少々のことでは米経済が揺らがない状態にある中で実施しているため、実際に景気後退まで突き進むかどうかは意見が分かれる所であった。
しかし、コロナ以降のリモートワークの普及や、居住場所の変更などの働き方の変化、AI活用による生産性の改善が確認され始めており、景気後退の可能性はかなり後退したと考えられる。これはドットコムバブルが弾ける前後から、米企業の生産性が改善した時と状況が似ている。
ただ、問題はトランプ大統領が調子に乗って、今後も無茶な政策を出し続けることだろう。彼は大統領ではあるが、一存で全てが決められるオーナー社長でも、国王でもない。そのことを忘れてしまっている、いや、そもそもそのつもりだったのかもしれない。
雇用統計を始め、都合の悪い報告を握りつぶす、フェイクニュースとしてねじ曲げる、といったどこかの国とほぼ類似の行動をしており、このままであれば米国の信用が大幅に低下する恐れがある。恐らくそれが今後の世界経済の最大のリスクだろう。
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