米CPIを控えて様子見気分強い
- MRA商品市場レポート
2025年8月12日 第3034号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米CPIを控えて様子見気分強い」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は液体系燃料、非鉄金属、貴金属が軟調な推移となり、ガスやその他農産品が堅調な推移となった。米CPIの発表を控えて様子見気分が強く、方向感に欠ける展開となっている。
夏枯れ相場の様相を呈しており、商品価格は特別な要因がないものは比較的穏やかな推移となっている。しかしセクター別でみると商品価格の値動きは二極化している。
「解放の日」以降、比較的一貫して水準を切り下げてきたのがエネルギーセクターであり、解放の日とは関係無く水準を切り下げてきたのがソフトコモディティのセクターだ。穀物セクターも小幅であるが年初来のパフォーマンスはマイナスだ。
これに対して上昇が顕著なのが畜産、貴金属、非鉄金属セクターである。畜産価格の上昇は需給逼迫が影響している。肥育頭数の減少は昨年11月に生牛の主要輸入元であるメキシコで、ラセンウジバエが発生して対米輸出が禁止されたことが切っ掛けである。
貴金属は言わずもがなであるがウクライナ危機以降上昇をしていたが、ここにトランプショックが加わった形で、銀が上昇して金に追いつく中、割安感が強かったPGMも物色されるという流れ。
非鉄金属はトランプ関税の影響で米国向けのフローが増えたことが影響しているが、それ以上にドル安が継続してドル指数が▲10%以上の下落になっていることが大きい。これに加えて「脱米国」の流れが欧州や中国のインフラ投資、欧州においては軍事向けの投資強化の動きが強まっており、これも非鉄金属価格の上昇要因となっている。
中長期的に鉱物資源は物色されやすい地合が続くと予想されるが、年後半に掛けては米関税の影響が顕在化することから需要の伸び減速で下落に、というのがメインシナリオではある。
今晩米CPIが発表されるが、そろそろ米関税の効果が統計に表れてきてもおかしくないタイミングである。ただし、販売減少を嫌気して、生産者が最終価格に転嫁を行う動きが制限されること、前倒し調達の影響がまだ残存することから緩やかな上昇になるのではないか。
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