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ドル安維持で堅調 エネルギーは続落
  • MRA商品市場レポート

2025年8月8日 第3032号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安維持で堅調 エネルギーは続落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーセクターが総じて軟調な推移となったがその他のセクターは総じて水準を切り上げる動きとなった。昨日発表の米週間新規失業保険申請件数が市場予想を上回る増加となっていたことや、失業保険継続受給者数も増加したことで、先般発表の雇用統計の通り雇用環境が緩和し始めていることが材料となった。

また、エネルギーに関しては米露首脳会談を開催する方向で調整が進んでいることが明らかになり、ロシア産の化石燃料が市場から閉め出されるリスクがやや後退したことが供給面のリスクを後退させ、価格の下押し材料となった。

なお、仮にロシアに対する制裁が解除されたとしても、インドはロシアから武器を購入するなど繋がりが深いため、50%の関税は継続すると予想される。

関税に関しては先ほど赤澤大臣が関税は先般発表した通り、15%未満のものは15%、15%を上回るものに関してはそのままとうい事を確認したと発表している。

しかし、ラトニック、ベッセント、グリアの3名は関税問題を巡って足の引っ張り合いを行っているため、赤澤大臣がトランプ大統領と面談した時に不在だったグリアUSTR代表が、+15%で、と指示を出した可能性も否定できない。

結局、きちんと合意文書を締結しなければ、このようにしれっと米国の都合の良いように条件が変更される可能性がある。

また、DOGEで政府職員を解雇していることや、余りに複雑な関税政策が取られていることで現場が混乱していることも間違いが無く、連絡の不手際ということも十分に有り得る。

なお、昨日もコメントしているが、関税政策は米国にとって有利な政策とは言えない。にも関わらずこうした政策が取られているのは明らかに来年の選挙を見据えたものと考えられる。

民主党の大票田である各労組のコメントを報道ベースで拾ってみると、今回の関税政策を概ね評価するものが多い(もちろん、GMなどカナダからの輸入比率が高い企業などは不満を表明しているが)。

時間経過と共に調達コストが関税で上昇している企業は、最終価格への転嫁を進めるだろう。現在、関税による税収増は500億ドル/月程度とみられているが、本来であればこの分は最終価格に転嫁され、販売が減少して所得税や法人税からの収入が減少することで相殺されるはずだ。

しかし、今のところ販売減少を恐れて価格転嫁を行っていないため、見かけ上「海外から税金を徴収して、米国はリスクがないように見える」。このコスト上昇分はきっちり最終価格に転嫁するべきだろう。

そして前倒し調達した在庫がそろそろ払底すると考えられることから、8月12日に発表される米CPIが米国のスタグフレーション懸念を強める内容になっているか十分注意したいところ。


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