CONTENTSコンテンツ

米利下げ期待を受けたドル安株高で総じて堅調 エネルギーは軟調
  • MRA商品市場レポート

2025年8月7日 第3031号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米利下げ期待を受けたドル安株高で総じて堅調 エネルギーは軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は非鉄金属などの金属セクターやその他農産品価格が上昇、エネルギーは総じて水準を切り下げる動きとなった。

米国がロシアからエネルギーや武器を購入しているとしてインドに対して50%の関税を課すと発表したことで、一時エネルギー価格は上昇したが、ロシアからの購入を止めないこと、関税の影響で景気が下振れすること、などが意識されエネルギーセクターは水準を切り下げた。

また、先ほどトランプ大統領は米国で工場を建設するとしている企業以外には半導体の完成品に100%の関税を課すとした。これを受けて米国企業であるアップルなどは米国内での1,000億ドルの投資を決めたが、そもそも完全雇用に近い状態で移民も排斥、労働力が不足する中で米国での製造が成立するかは疑問である。

労働力不足の結果賃金は上がり、各国に課している関税の影響で少なからず調達コストは上昇する。これを「企業側の努力で吸収せよ」とした場合、営業利益の減少に繋がり、業績悪化で株価にはマイナスとなる。これを最終価格に転嫁すれば恐らく消費が減少することになる。

ただ、アップルと下請け企業では力関係が天と地ほども違うため、恐らく仕入れ価格の上昇をアップルなどのいわゆる超優良企業が飲むとは思えず、サプライチェーンの中では下請け企業の業績が悪化するという、二極化が起きることになると予想される。

この下請け企業群には、今回トランプ政権がサポートすると言っている業態が多数含まれると考えられる。

長い視点で見た場合、各所で繰り返し言われていることだが米国にとってプラスの政策になるとは思えない。言葉を選ばずに言えば「自分が在任期間の間に儲かれば良い」と考えているような、途中でトップになったプロ経営者のようなものだ。

ちなみにトランプ氏は実業家とされるが、人生で6回も自分が経営している会社でチャプター11を申請しており、プロかどうかは怪しい。

もちろん、経済面で米国一強の状態に大きな変化はなく、基軸通貨としてのドルの「使い勝手の良さ」を考えると米国債がデフォルトする可能性は限りなくゼロに近い。また、例えば米国債を中国や日本が売却して圧力を掛ける、とした場合でもそれ以上の返り血を浴びることになるため、実際に米国以外の国が米国に対して対抗する手段は限られるのも事実である。

結果、米国と決定的な対立を回避しつつ、関税分をきっちり最終価格に上乗せして米国の消費者にも相応の傷みを感じさせる必要があろう。


本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について