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米統計悪化でエネルギー下落 ドル安でその他は底堅く
  • MRA商品市場レポート

2025年8月6日 第3030号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計悪化でエネルギー下落 ドル安でその他は底堅く」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品や非鉄金属の一角、発電燃料の一角などが物色されたが、エネルギー価格は調整圧力を強めた。注目の米ISM非製造業景気指数が米景気の減速と同時にインフレ懸念を意識させる内容だったことが影響、金利上昇が株を押し下げ、リスク資産価格全体の売り材料となる一方、同時にドル安が進行したことが価格を支える形となった。

ISM非製造業景気指数は、50.1(市場予想51.5、前月50.8)と市場予想・前月とも下回った。またサブ指数に関しても、雇用指数が46.4(47.2)と減速、新規受注も閾値の50は上回ったが50.3(51.3)と減速しており、米国景気の減速感が確認される形となった。

その一方で仕入れ価格指数は69.9(前月 67.5)と上昇しており、米国のインフレを意識させる内容。ISM非製造業仕入れ価格指数に含まれる代表的な品目は、オフィス用品や光熱費などが含まれるが、そのほかにも労働コスト、輸送コストも含まれる。

内訳数値までは不明であるが、ISM非製造業景況調査委員のスティーブ・ミラー委員長は「調査対象の中で最も話題になっているのは関税による影響。特に商品価格上昇への言及が増えた」としており、労働市場は緩和しているものの、関税政策の影響が物価を押し上げ、状況を複雑にしていることが徐々に明らかになってきた。

FedWatchベースでは9月利下げ確率は92.4%(前日90.4%)とISM非製造業景気指数の悪化を受けて利下げはほぼ規定路線で変わらずだが、10月の追加利下げの可能性は59.2%(前日63.8%)と低下しており「利下げはあるがそのペースに関する意見は分かれている」という状態。

足元、多くの商品価格に影響を及ぼしやすい原油価格は、米国の統計の減速とOPECプラスの増産で低下圧力が掛かっているが、同時に「ロシア産原油を購入しているインドに対して高関税を掛ける」とトランプ大統領は発言しており、仮にインドがロシア産原油の購入を止めれば、他原油物色の流れで原油価格が上昇して景気と関係無く物価を押し上げる可能性は否定できない。

同時に、インドがロシア産原油の購入を止めなければ原油需給は逼迫せず、インドの輸出減少が株式市場などに悪影響を及ぼし、価格には下押し圧力が掛かることになる。

また同様の動きが中国やその他の新興国にも広がる可能性がある。日本にいるとイメージし難いが、ロシアに対して否定的なスタンスを取っていない国はサウジアラビアやブラジル、トルコ、南アフリカ、インドネシアなどBRICS諸国に連なる国に多く、仮にこれらの国にインドと同様の100%関税を掛ける、という話になればまた市場は大混乱だろう。


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