利下げ期待で総じてリスク資産に買い戻し
- MRA商品市場レポート
2025年8月5日 第3029号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「利下げ期待で総じてリスク資産に買い戻し」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーが広く下落したが、その他の商品は総じて堅調な推移となった。米雇用統計ショックの反動で大幅に調整した株価が上昇、利下げ観測を受けた金利低下がドルを低水準で維持したことが材料となった。
原油は最大消費国である米国の経済活動の鈍化とOPECプラスの増産を受けて水準を切り下げている。
改めて米雇用統計を巡る一連の動きを振り返ると、本来であれば関税政策の影響で財に関わる経済活動は鈍化していておかしくなかったのだが、個人消費は足踏み状態、設備投資なども足踏み状態であり関税の効果が見られていた。
雇用は景気の遅行指標の1つであるため雇用の減速が遅れているのだろう、という整理だったがそれにしても雇用関連統計は想定以上に堅調だったこと、関税の効果がまだ顕在化していないとして政策金利の引き下げが見送られていた状況だった。
しかし、今回の雇用統計で明確に雇用市場が冷え込んでいることが確認され、ある意味非常に自然な状態(関税やトランプ氏の移民政策の影響が経済統計に反映されている)になったといえる。
今のところ市場では年内2回の利下げがコンセンサスとなっており、調査機関によっては3回以上の利下げ(▲25bp/回を上回る利下げ)を予想する所もでてきている状況(サンフランシスコ連銀総裁も、「3回以上」の利下げの可能性を指摘)。
週末のレポートでも解説したが、フォワードルッキングな指標であるISM製造業指数は48.0(市場予想 49.5、前月 49.0)と減速、雇用指数も43.4(46.8、45.0)、新規受注も47.1(48.7、46.4)と低下、少なくとも米製造業の先行きはかなり減速感が強まっていることを示唆している。
取りあえずは8月のジャクソンホールシンポジウムでの、パウエル議長の発言が非常に重要になると予想されるが、恐らくここで利下げ方針が示され、9月に▲25bpの利下げ、というのがメインシナリオだろう。
過去、景気減速局面で利下げのタイミングが遅れてショックが発生する、ということが複数回起きているがこのままのシナリオであればそれは回避できそうだ。
しかし、本当に利下げを断続的にできるかは、物価上昇が継続するか否かが鍵となるが、ISM製造業指数の支払価格指数も64.8(70.0、69.7)とまだ非常に高い水準を維持しており、まだFRBが慎重になる材料は残っている状況であることは付言しておきたい。
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