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米雇用統計ショックでエネルギー安 金属は高い
  • MRA商品市場レポート

2025年8月4日 第3028号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米雇用統計ショックでエネルギー安 金属は高い」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は貴金属・工業金属・その他農産品が上昇、金融市場では債券が上昇したが、エネルギーや株などは大きく水準を切り下げた。

注目の米雇用統計がサプライズとなり、米景気の先行きへの懸念が強まったことが、米国が最大消費国であるエネルギー価格を押し下げ、株安がリスク資産売りをさそったが、同時に進行したドル安が非鉄金属など「米国が最大消費国ではない商品」価格を押し上げた。

昨日の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+7.3万人(市場予想+10.3万人、前月速報+14.7万人)と基準となる前月比10万人のラインを割り込み、これだけでも弱い内容だったのだが、先月の速報が+14.7万人から+1.4万人に10分の1に下方修正され、過去2ヵ月の修正も▲25.8万人(速報+1.6万人)と大幅に引き下げられた。

また、先月初に発表された雇用統計で政府部門の雇用者数の増加(+7.3万人)が、DOGEで退職させられた職員の地方再雇用と分析されていたが、これも+1.1万人に下方修正されている。

一方、労働人口がほぼ横這いの中で失業者数が+22.1万人増加、失業率は4.2%に上昇、一時解雇者数も+8万人と増加している。

フルタイム労働者が減り、パートタイム労働者が増加、国籍別では米国生まれ労働者数が増加する一方で、移民の労働者数は急速に減少している。そして賃金は前月比+0.3%(前月+0.2%)・前年比+3.9%(+3.8%)、労働時間も34.3時間(34.2時間)と長期化。

このことは、不法移民の強制送還で労働者の確保が困難になっていることを示唆している。これまでは雇用が堅調で賃金上昇、という理解だったが雇用市場は想定よりも鈍化しているが、業種によって人が足りないというアンバランスな状態になっていると考えられる。

そして、同時に発表されたフォワードルッキングな指標であるISM製造業指数は48.0(市場予想 49.5、前月 49.0)と減速、支払価格指数も64.8(70.0、69.7)、雇用指数も43.4(46.8、45.0)、新規受注も47.1(48.7、46.4)と低下、少なくとも米製造業の先行きはかなり減速感が強まっていることを示唆している。

雇用環境に大きな影響を及ぼすサービス業の統計であるISM非製造業景気指数の注目度は増すことになる。

トランプ大統領はFRBパウエル議長をこき下ろし、利下げを強要していたが結果的にはこれまでの一連の発言が、トランプ大統領に分があるように見える。しかし、これまで取得してきた統計数字を元にすれば利下げには到底踏み切れるものでは無かったため、「俺が正しかっただろう」とはならない。

しかし、改めて考えるとこれまでの統計が強すぎることに疑問を持つ市場参加者が多く、この修正でトランプ政権が行っている一連の政策と現状の平仄が取れたとも言える。正直、この統計の水準の方が違和感がない。


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